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戦場へ駆り出される。
戦場までの道のりは、歩いて行進する。この時、気を付けることは、一番前を歩いてはいけないということだ。一番前を歩いていると突撃部隊の前線を張らされる。みろ、雑魚なゴブリンは何も考えずにゴブリン担当の人間の後ろを歩いている。
俺はこの時、なるべく後方を歩く。それも一番最後はダメだ、逆に目立ってしまう。真ん中より少し後ろめを維持することで突撃するときに、いい感じにもつれてくれている。
そうして俺は、今日も戦場を生き残る。人間は一人も殺せなかったのは心残りだ。
なるべく弱そうで、他のところに視線がいっている人間を探したが居なかった。
「ぎゃぎゃ?」
地面に倒れて死んでいる人間を見つける。折角なので、そいつの腕についていた腕輪を今日の戦利品としてもらうことにした。
領地に戻り、飯を食う。
「ぎゃぎゃ」
こんな飯の量じゃあ、いつまでたっても体が細いままだ。なんとかして食事を増やせて貰えないだろうか。飯がどこかに落ちていないかと思い、領地を散策する。
勿論、領地に都合よく飯なんて落ちていない。
ウロウロと歩いていると、ボスがやってきた。
(まずい!)
ボスはまずい、あれは格が違う。片腕に竜を宿し、その腕を振るう姿を見た時は味方ながら震えた。あれには勝てない、と。俺たちの上役であるゴブリン担当に人間、俺よりも少しだけ強そうな中堅ゴブリン、そいつらもあのボスにはヘコヘコしている。
ボスに、目を付けられるはまずい。
そう思い俺は、馬鹿なゴブリンの振りをすることにした。
急に立ち止まり、空をボーっと見上げる。まずいボスが不信がってこちらを見ている。えーっと、馬鹿なゴブリンたちはこのあとどうするんだっけ……そうだ!
俺は、道端でおもむろに排泄をする。
スッキリした顔をして、その場を立ち去る。どうだ、俺の馬鹿なゴブリンのふりは?
その後、何も言われなかったので、俺は馬鹿なゴブリンのふりが成功したと確信した。
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