295

「アルノー」


 あのあと全員と別れ、最初に話をしたのはゴブリン担当のアルノーだ。


「これは王よ。こんなところにどういった用で?」


 場所は、ゴブリンの主要メンバーが集まる場所。その場所にアルノー他、主要なゴブリンが集まっていた。


「少し、話をしようと思ってな」


 今回の作戦の肝は彼だ。正確にいえば、ゴブリンという数を揃えられるかどうか大事だ。ゴブリンにはできるだけ場を荒らして貰い、敵戦力が集中しないよう錯乱をして欲しい。できれば俺が四芳姿のエッダと戦っている間、邪魔が入らないように。


「王よ。僕は、この地に来て良かったと思っています。自分が必要とされ、自分を必要としてくれる人がいる。何より、自分の気持ちに素直になれたことが一番の成果です」


 確かに彼は、この場所に来てトップクラスに性格が変わった人間かもしれない。


「アルノー。俺のために、力を振るってくれるか」


「勿論です、王よ。必ずや、ゴブリン共々、お力になります」


 一番重要な説得だったが、一番許可が貰えそうだったアルノーから尋ねたことは良かった。正直にいうと他のメンバーは、もしかすると断られる可能性もあると考えている。そういう意味で、気軽にお願いをすることができた。


 アルノーに許可がもらえたことで、他のメンバーの説得にも弾みをつけたい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る