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時刻は夜。ある一室に呼ばれた。


 魔物の領域は暗い。電気などという文明の利器はないため、必然的に夜は暗くなる。逆に、夜のほうが活発的に動ける魔物も多いため、光を欲していない種族が多いともいえる。


 ドアを開け、室内に入る。中に入るが人の気配がない。


「おい、グルヴェイグ。いないのか?」


 相手に呼びかけながら中へ進む。中は薄暗く、あまりよく見えないため、反応がないといるかいないかが分からない。


 カチャ。と後ろで音がする。


 振り向くと、こちらを呼んだグルヴェイグが立っていた。


「何をして――」


 薄暗く、相手の輪郭しか見えていなかったため、光を相手に向けたことで初めて気づく。


 彼女は普段の服装とは違い、かなりの薄着だった。体の線が良く見え、肌色が多く露出している。ただでさえ、彼女の見てくれは良いので、そんなあられもない姿を見せられると理性を保つのも難しい。


「あ、あー。なにしてるんだ」


 なんとか、平常心を保ちながら尋ねる。彼女が無言で近づいてくる。一歩だけジリッと下がってしまうが、プライドが許さずなんとか立ち止まる。


 彼女が、薄い衣服でこちらに体を寄せる。


(な、なんだ――なにが起きている!)


 頭の中は混乱していたが、表情には出さないよう平静を保つ。正直、心臓の音でバレていそうだが。


「ねぇ、私の事……好きですか?」


「は?」


「私は、あなたのことが好き。こうして肌を許せるくらいには、あなたに好意を抱いている」


「お、おう……」


 突然の告白。正直こうして素直に好意を伝えてくれる人は、前世も合わせてあまりいなかった。


 前世で学生時代に付き合った彼女も、結婚した奥さんも、こちらから告白した。日本の女性は奥ゆかしい性格をしていたため、相手側からこうして積極的に告白されるのは、女尊男卑なこの世界の特徴かもしれない。


 それでもこの世界に生まれ変わってから、こうして好意を素直に伝えられたのは……


 幼馴染のヴィルマと、貴族のクラウディア、四芳姿のカサンドラ、エルフのミア……あれ、結構いたな。ちなみに妹はノーカンだ。


 では、今までの女性と、今目の前にいる彼女との違いはなんなのだろうか。


「一つ前の前線都市で私頑張ったと思うの、だから特別な褒美があなたから欲しい」


「それは……」


 確かに王とは、家臣に褒美を与える。金銭だったり、土地だったりと。その中の一つに自分の娘を嫁に出し、家同士の繋がりを深めるといった行為は、前世でもあった。だからこそ、こうして体を求められることはないことはないのかもしれない。


「あなたの特別が、私に向いていないことは分かっている。だけど今だけはお願い。私だけ見て。そうすれば私、きっと今後もあなたのためになら命を懸けて戦える」


「グルヴェイグ……」


俺は……

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