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想い人が、苛ついているのが分かる。


 最近の彼は少し焦っている。思ったようにいかず、相手に振り回されている。そんな様子を、戦う術がない私は、ただ見てるだけ。


そんな状況がもどかしい。


 彼は、私に光を与えてくれた。希望を与えてくれた。ここにいる者は、彼から何かを貰ったものが多い。


『俺のために、命をかけろ』


 そう言われれば、『はい』と言って従うものが多いだろう。


 魔物のためとか、そういったことではなく、私個人だけ見て欲しい。これはエゴだろうか。


ただ一言、そう言ってくれるだけで私は……


 彼は、決して言わない。誰も特別扱いはせず、平等に接する。今は、それがただただもどかしい。


 だからこそ、私の方から一歩踏み出さないといけないのかもしれない。

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