289
人間側の攻撃により二の足を踏んでいる現在、迂闊に手を出せなくなった魔物側。そのため、今人間と魔物が小競り合いをしている場所は、最前線都市のみとなっている。くしくも、魔物の大暴走が起きる前と同じ状況になった。
そして最前線には今、ローレライの精鋭や、四芳姿が参戦しているため、少しずつ押されている状況となる。
森は切り倒され、少しずつ人間の領域が増えていく。
「空の動きは?」
「今のところ、敵影なしです」
彼女たちが警戒するのは、魔王の襲来。あの巨体であれば、遠くから飛んでくればすぐにでも気づける。空の領域は、未だ人間には届かぬ場所のため、空を飛ぶことができる竜種に襲われた場合、なすすべがない。
「ドラゴンは私と同等か、それ以上の力を有してます。警戒を怠らないように」
「はっ」
油断は、決してない。
しかし、いつまでもこうして前線に立っていることも出来ない。
「もう少し押し込めれば、魔物側の侵攻ルートの多く潰せます。三か月以内に、そこまで侵攻しましょう」
両脇に、大きな山が広がるその場所まで押し込めれば、簡単に魔物側は侵攻が出来なくなるだろう。それこそ壁でも立ててしまえばいい。むしろ今までの人間がそれをやっていなかったことが問題なのだ。隣に魔物がいるという状況は、常に死と隣り合わせの状態だ。倒せるから、と手を後回しにしていたことが、今問題となっている。
「もう少しです……」
少しだけ、終わりが見えたこの戦争に、胸を撫でおろす。
人間側の前線を押し切るまで、残り3ヵ月。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます