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土の精霊は、植物を育てることで力を増すことができる。
魔力レベルをあげるために、人間は魔物を狩る。その行為は魔物を狩ることで、魔物の魔力を奪い、蓄え、自分の魔力とするという理屈だ。自分よりレベルの低い魔物をいくら倒しても、中々レベルが上がらないのは、その魔物が内包している魔力が少ないためだ。
加えて、魔力は貯蓄される。
そもそも人間に魔力を操作する力はなく、魔力を操作する力は精霊から授けられる。そして精霊に認められたときに初めて、その貯蓄された魔力が使われレベルが上がる。
操作レベルが高いものほど、精霊からの寵愛される。精霊から嫌われている者は、精霊の気まぐれで、認められた時にしかレベルが上がらず魔力がドンドン貯まる。とはいっても日に何体も格上を狩るような命知らずは、そう多くないのでそれで事足りるらしい。
『人間に分かるよう便宜上、認められるという言葉を使ったけど。実際にその人間を見ているわけじゃないけどね』
と、土の精霊はいっていた。なんだろう、概念的な話だろうか。
まあつまり、俺のレベルアップが不定期だったのは、水の精霊の気まぐれだったわけである。魔物になって初めて知った事実だ。
土の精霊は、植物に魔力を込める。そうして魔力がこもった眷属を増やすことで、土の精霊から加護を貰っている者はレベルが上がる。眷属が多ければ多いほど、強くなるらしい。
「ん~~~~~!」
今こうして、俺の目の前で女頭領のペトラは必死に植物に魔力を込め眷属を増やしている。
「ほら、頑張れ。お前のレベルが上がれば作物の育ちが良くなるんだ」
「……他人事だと思って!」
土の精霊は土の精霊らしく、土地に魔力を与えることができる。魔力を込めた土地は作物の育ちも良く、早く育つ。今、この場所は移民により住民が増えたため、食糧難になりかけている。
(だからこそ頑張って成長してくれれば、食糧難解決の一助になる)
魔力を込めるのは、難しいらしい。確かに、人間の魔力操作にはない技術ではあるため、コツをつかむのに彼女は苦労している。
「だけど見てみろ、カサンドラは次の植物にいってるぞ」
同じく、土の精霊から加護を貰ったカサンドラはセンスがあるらしい。やはり、元四芳姿というのは伊達ではないらしい。どんな職場にいっても、ある一定の成果をあげる優秀な社員のようだ。
「じゃあ、後は頼んだぞ。食料担当のペトラ」
彼女のここでの役職が決まった。
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