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「うっ……」
「起きたか」
時間は少し戻り、盗賊団を制圧した直後あたりまで戻る。
「時間がない、手短に話そう。盗賊団を俺の指揮下にしたい」
「どういうことだ……?」
「お前らも行く場所がなく、こんな魔物の地まで来たのだろう。ここに住む変わりに、盗賊団という武力が欲しい」
結局はぐれもの同士、仲良くなろうって話だ。人間の世界で生きていたって肩身が狭く、うまく生きられない者同士、いい感じで共存できるだろう。
「こんな状況で言うのもなんだが、部下はまともにいうことを聞くような奴らではないぞ」
「分かっている。だからお前に先に声をかけている」
盗賊団なんて荒くれものをまとめる手間も考えると、デメリットが多い。だがもし、この頭領をそのまま据え置きできるのなら、管理するのはこの頭領だけでいい。
「なるほど、他の仲間が起きる前に私と交渉をしたいってわけだな」
「ああ、お前の望むものはなんだ。できる限り用意しよう」
「子供だ!」
自信満々に女頭領が答える。ちょっと何言ってるのか分からない。
「……そうか。誰の子供でもいいのか?」
「ああ、子供ならなんでも来い!」
「アルノー! こっちに来い!」
アルノーを呼びつける。
「どうしました?」
「おい、こいつでいいか?」
「いいわけあるか! 大人じゃないか!」
こいつ! まさかロリコンか! ……いや、冷静になろう。誰かと結婚をして子供が欲しいってことではないのだろうか。
「子供っていうのは、誰かとの子供が欲しいってことじゃないのか?」
「違う! 私は子供を愛でることが好きなのだ! 自分の子供である必要はない!」
なんだ、やっぱりロリコンじゃないか。
「ちなみに、女の子でも良い!」
「……ゴブリンの子供でもいいか?」
「いいわけないだろ!」
結局、今後子供を捕まえたときは優先的に回す、ということで話が落ち着いた。他の盗賊団の前でする茶番の前に準備が整った。これであとは他の盗賊団の前で、やむなく傘下に収まるが納得はしていない。私たちは私たちで自由にやらせてもらう。といった建前を作ることができる。
あとは子供をこの女頭領に回して、うまいこと操れれば完璧だ。……たぶん、完璧だ。
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