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「まさか魔物に与している人間がいるとはな……」


 そんな偉そうなことをいうのは、盗賊の女頭領だ。偉そうなことを言っているが、引っかかるまで魔物の情報は隠していたので、単純にこいつらは人間に騙されただけなのだが。


「ふん、我々は犯罪に手を染めることがあっても、魔物に与することはない。さっさと殺すがいい!」


 中々、見上げた根性だ。盗賊のくせに志だけは高いらしい。


「……連れてこい」


 俺の一声で、連れてこられたのは男女の子供2名だった。


「な、きさま!」


「先ほど殺せと言っていたな、なら――」


「やめろ! 未来ある子供を殺すんじゃない!」


 だからなんで盗賊の癖に、そんな志高い発言をするんだ。


「子供を殺すなんて、人間のやることではないぞ!」


「お前は、勘違いをしているな」


 俺は、椅子に縛られ動けない女頭領の頭を、右手で掴む。


「お前には、この手が人間の手に見えるか?」


「なっ!」


「俺の右手には、竜が眠っている」


「貴様! まさか心だけではなく、体まで魔物に堕ちているのか!」


「……お前らに選択の余地はない、子供を殺されたくなければ俺の指揮下に入るのだ」


「クッ!」


 こうして俺は、盗賊団を指揮下におくことになった。

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