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 盗賊団の中に、以前建築の仕事をしていた人間がいたので住環境が少し改善された。近くの森から木を伐採したり、その辺に転がっていた古い建物の石を利用して住環境を整える。お世辞にも良い家とはいえないが、これで少しでも住環境が改善されるだろう。


「お前たち! さっさと仕事しないと、また地面で寝ることになるよ!」


 女頭領もいい感じで、仕事に励んでくれている。やはり盗賊団をまとめているだけあって、部下からの信頼は高いらしい。俺が指示するより、十全に仕事に励んでくれている。


 最初の村人の中にも今回の出来事がきっかけで、少し差ができ始めた。新しい住居に住むものも出ているため、いい感じで競争が生まれるといいのだが。


 問題は戦力だ。今回、仲間になった女頭領も戦力としてはいい線いっているのだが、どうしても四芳姿を相手となると一段劣る。


(というより人間を仲間にする時点で四芳姿より劣る可能性の方が高い……)


 相手は人間の最強クラス。人間の最強に勝つために、人間を仲間にしていてはいつまで経っても追いつけない。かといって人間を育てている余裕もない。


「魔物で強いやつを探さないと……」


次の目標が決まった。

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