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ゴブリンアサシンが、斥候に出ていたらしく情報を持ち帰ってきた。進化したときはどうでも良かったのだが、こうしてみると言葉を交わせるゴブリンとは、意外に使えるのかもしれない。
「人間の集団か」
「はい、恐らく盗賊かと」
「ふむ……」
チャンスだ。飴を与えるには、何か理由がないといけなかった。ただ飴を与えては、相手が増長するだけで引き締めにはならない。だが手柄をあげたものに飴を与えるのは、それは褒美になる。手柄があちらからやってきたのだ、利用しない手はない。
「人間の男を集めろ」
「はっ!」
柵の中で人間の男を集める。男たちは、なんで呼ばれたのか分からず戸惑っている者、恐怖が残っているのか怯えている者、こちらを睨んでいる者と様々だ。
「お前らの中で、妻に会いたいやつはいるか?」
目を見合わせた男たちの中で、3人ほど手が上がった。思ったより手が挙がらなかったことは意外だが、とりあえずその3人だけ呼び寄せて、他の男には解散してもらった。
「盗賊をおびき寄せる、ですか?」
「ああ、あの建物までおびき寄せる手伝いをしてもらいたい。もしそれが成功すれば、お前らは妻と暮らすことができる」
「……それはつまり」
「ああ、つまり昇進だ」
ゴクリと、唾を飲み込む3人。特に、今の環境に納得していないだろう3人を選んだのだ、やる気になって貰えると助かる。
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