144
「さて、今日は少し奥までいってみようか」
「はい、お兄様!」
うーん、いい朝だ。なんか昨日までは少しモヤモヤした、まるで誰かに見られているような気分だったが、今日は天気も良く晴ればれとした気分だった。順調に狩りを行いながら、奥へ進む。
景色は少しずつ緑が減り、荒野のような場所を進んでいく。明らかに雰囲気が変わった、中層といったところだろうか。
「……」
「お兄様」
前から、小さな小人が現れる。3頭身といったところだろうか、人間のような体をしており筋肉で盛り上がった腕は、木の丸太くらいの太さがある。手には斧のようなものを持ち、こちらを睨んでいた。
「人間、これ以上立ち入るというなら容赦はせんぞ。大人しく立ち去れ」
「魔物が喋った!」
妹は驚いているが、俺は今まで何度か喋る魔物と遭遇している。それに、今回の目的はこれだ。
「魔物の者よ、少し話がしたい! いいか!」
「……人間と語る言葉は持ち合わせてない、どうしても話がしたいというなら、まずは力を示してみよ!」
「……はは!」
魔物は実力主義というのは、この世界でも同じなのだろうか。前世の知識が、こんなところで役に立つとは思わなかった。
「お兄様、相手は恐らくドヴェルグです。ここは二人で――」
「いや、俺一人で相手をする」
「お兄様!?」
恐らく力を示せというのは、そういうことだ。ここで二人で戦うようじゃあ、相手にもされない。
「シューベルトだ、いくぞドヴェルグ!」
「バーヴォールじゃ、こい人間の小僧よ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます