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「さて、今日は少し奥までいってみようか」


「はい、お兄様!」


 うーん、いい朝だ。なんか昨日までは少しモヤモヤした、まるで誰かに見られているような気分だったが、今日は天気も良く晴ればれとした気分だった。順調に狩りを行いながら、奥へ進む。


 景色は少しずつ緑が減り、荒野のような場所を進んでいく。明らかに雰囲気が変わった、中層といったところだろうか。


「……」


「お兄様」


 前から、小さな小人が現れる。3頭身といったところだろうか、人間のような体をしており筋肉で盛り上がった腕は、木の丸太くらいの太さがある。手には斧のようなものを持ち、こちらを睨んでいた。


「人間、これ以上立ち入るというなら容赦はせんぞ。大人しく立ち去れ」


「魔物が喋った!」


 妹は驚いているが、俺は今まで何度か喋る魔物と遭遇している。それに、今回の目的はこれだ。


「魔物の者よ、少し話がしたい! いいか!」


「……人間と語る言葉は持ち合わせてない、どうしても話がしたいというなら、まずは力を示してみよ!」


「……はは!」


 魔物は実力主義というのは、この世界でも同じなのだろうか。前世の知識が、こんなところで役に立つとは思わなかった。


「お兄様、相手は恐らくドヴェルグです。ここは二人で――」


「いや、俺一人で相手をする」


「お兄様!?」


 恐らく力を示せというのは、そういうことだ。ここで二人で戦うようじゃあ、相手にもされない。


「シューベルトだ、いくぞドヴェルグ!」


「バーヴォールじゃ、こい人間の小僧よ!」

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