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「ん――」
まだ日が昇って間もない時間、今日はちゃんと起きられたようだ。
グッと体を伸ばし、関節をほぐす。
「……はぁ」
まだ少し眠気はあるが、ここで二度寝をすれば、きっとまた寝坊をする。隣を見るとまだ同室の彼女は寝ていた。彼女を起こさぬよう音を立てずに起きあがりシャワーを浴びるために浴室へ向かう。
キュっと蛇口をひねりしばらくするとお湯が出てくる。このお湯が出る仕組みもまた、学術都市で作られた作品の一つだ。寒い朝などにはとても重宝している。
お湯を全身に浴び、体を清める。体も軽く洗い、体温がポカポカと温まったので浴室から出る。
下着は、もしも必要になった時に困らないよう、特に日の目を浴びることもないが真剣に選ぶ。着替えを済ませると、同室のコリンナが目を覚ました。
「おはよう」
「……(コクリ)」
彼女も朝は大分弱いらしく、服が大分乱れた状態だ。
彼女は、その喋り方や性格から誤解されがちだが、普段はかなり勘が鋭い。昨日も何かを感じ取って、心配して私についてきてくれた。それを少し嬉しく感じた。結果としてヴルストを貪るだけだったが。
彼女は顔を洗い、着替えをすます。その間、朝の日差しを頼りに本を読みながら準備が終わるのを待つ。
「……今日もあのお兄さんのところへいくの?」
「え!? う、うん。たぶん行くかな」
「……そ」
今から午後のことを楽しみにしていたことがバレたのか、少しだけドキリとする。本当に彼女は勘が鋭い。
準備が終わり学食へ向かう。朝はパンにジャム、ヨーグルトと、フルーツが出る。朝はしっかりと栄養を補給することを念頭においたメニューになっている。
この学術都市では1日1回は温かい食事を食べることが伝統となっており、昼や夜は温かいものをメインにすることが多い。その分、朝は少し簡素になってしまうため、しっかりと栄養があるものを選ぶ傾向にある。
朝食を食べ終え、研究室に向かう。時計の小型化には歯車が使われている。工房に頼んでおいた歯車を組み合わせ、時計を組み立てていく。研究はかなり進んでおり、作品も終盤に差し掛かっている。
午前中の研究を終え、午後は自由時間だ。
片付けを終え図書館へ向かうと、いつもの席に彼が座っていた。
彼は私の2歳年上の17歳。彼が特別なのか、それとも成人をして世間を知った人は皆こうなのかわからないが、とても落ち着いた雰囲気がある。それに加えて、凄く稼いでるようだ、羨ましい。
少しの間、会話を交わした後それぞれ読みたい本を読む時間となる。落ち着いたこの毎日がとても大切で、ずっと続いていくことを願っている。
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