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「はっ! ぐっ!」


 目が覚めると体中が痛い、そして知らない天井だった。


「おう、起きたか坊主」


 声が聞こえてきたほうをみる。なんかこの世界に来てからこういう展開多くないか。


「ここは」


「ここは門番たちの休憩室だぜ」


 どうやら俺はあの後、治療を受けるために、ここに運ばれたらしい。


「いやすまない、助かった」


「はっはっは、あんな愉快なことは珍しい。面白かったぜ坊主。ただ貴族様には喧嘩を売っちゃあ、この街で生きてはいけないからな、気をつけな」


「ああ……」


 村には貴族はいなかった。


「なあ、おっちゃん。貴族ってどう対応するのがいいんだ」


「あ? そりゃあお前、無視だよ無視。災害と同じだ。何事もなく過ぎ去るのを待つのが一番さ」


 無視……変なプライドを出さずに、無難に生きるならそれが一番だろう。ただどうしても前世の記憶が邪魔をする。


ふぅ~、ああ煙草が吸いたい


 門番さんに挨拶をしてギルドに向かう。街の中に川が通っている街で、建物はゴシック様式の街並みだ。サイズだけ見れば村と同じくらいだが建物の数が違う。んー、でも前世に比べればそこまで多くないか。

 主要道沿いに歩いていくとギルドの建物があった。建物の入り口は広く中に入ると、女性が多い。きゃいきゃい騒がしかった建物内が静かになる。


 建物内がなんか甘い匂いがする。香水くさっ! 受付は男だ、良かった。


「こんにちは、冒険者ギルドへようこそ」


 ああ、何か久々に父親以外の男の人と話した気がする。しかし改めて女が優位の世界は不思議だ、常識が通用しない。

 受付には若いイケメンな男が座り、周りを見渡すと女が数人で女子会でも開いているのかというような雰囲気、飲み物をカラフルだ。粗暴、酒、喧嘩のギルドとは真逆をいっている。


「魔物を狩りたいんだが、何か手ごろな魔物はいるかい?」


「魔物ですが、失礼ですがレベルはおいくつですか?」


「20だ」


 先日、魔力レベルが4にあがりようやく20まで上がった。さすがにゴブリンでは上がらなくなってきたので街に新たな敵をを求めてやってきたのだが。


「プッ、聞いた?」


「聞こえた聞こえた20だって~、身の程知らずは嫌ね~」


「よく見たら恰好も小汚い、これだから男は嫌ねぇ」


 コソコソと陰口が聞こえてくる。うるせー外野、いっそのこと絡んでくればやり返してやるのに


「えーっと、20だと……近くの森のセーフリームニルがいいですかね、食用の猪です。お肉を納品して頂ければ助かります」


「猪ですね、分かりました」


「あ、ただ気を付けてください。その猪を狩るトロールがたまにでます。トロールはレベル150超えのモンスターですので、戦わずに逃げて下さい」


「ああ、分かった」


 受付の前から去る、周りではまだ嘲笑をしている女どもがいるが無視だ、無視。

 ギルドのドアが開く、そこにはさっき戦った貴族の女がいた。


「お前は、クラウディアだったか?」


「あら、ご機嫌あそばせ。怪我の具合はもういいのかしら」


「ああ、お陰様でな」


まだ、いてーよ!


 でも俺は金も貯めないといけないし、村にも定期的に帰らないといけないからいつまでも休んでいられないんだよ。

 歩き出そうとするが目の前に立ってどかない貴族の女。どうする避けるか?


「おい、そこをどけ。出れないだろ」


「貴様っ!」


「あらいいのよ、どうぞお通り下さいませ」


「クラウディア様!?」


 そんな殊勝な態度に訝しむが、まあ絡んでいる時間もないので無視して狩りに向かうことにする。

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