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彼がこの場を去ってギルド内がザワザワしだす。
「クラウディア様、やつを調子に乗せてはいけません! なぜ道をお譲りになられたのですか」
「あらだって、彼面白そうじゃない」
そう本当に彼は何かやってくれそうな気がする。この街は少し停滞してしまっている。最近では強者もあまり出ず、外の魔物も脅威が少なくだらけた雰囲気がある。
ギルド内を見渡すと昼間から酒を飲むやつもいる。はあ、同じ女として本当に恥ずかしい。
「それにだったら、貴方が勝負を挑んで屈服させればよろしいので?」
「い、いえ私は……」
彼との門前での戦闘を見て、彼女たちはビビッてしまっていた。あのなりふり構わない捨て身な攻撃に、自分可愛さに、このだらけ切った街の中で戦いを挑むものはいない。
嘆かわしい、女のプライドはどこにいったのか。
「ですがそもそもああいった粗暴な感じは男らしくない。男は家にこもって家事をしていればいいものを」
それでもなお、こうして陰口を言うのだから、本当に一度彼と戦ってみるのも一ついい手かもしれない。それにしても彼は一体何者なのかしら。あら、よく考えると名前すら知らないわ。
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