七海先輩と外で手繋ぎ
夕日が何だか眩しい下校中の夕方。
「......でさ~、生活費の増大で親に男が出来たのかー!って言われちゃってさ~、誤魔化すの大変だったよー」
あれからちさとより『下校中に手を握ってみれば?受け入れられれば、ほぼ勝ち格だしそうじゃなければ諦めがつくでしょ』との助言を受け、俺は手繋ぎしてみることにした。
この技は失敗すれば、生理的に受け付けないということだし、成功すれば少なくとも身体は受け付ける。
つまりは告白が成功する可能性が高いということだ。
勿論、まだ付き合うかわからない。
でも、まずは七海先輩の思いを確認しなければ俺が心配している問題のスタートラインにすら立てない。
「ご迷惑をお掛けしてすみませんー」
「全然大丈夫だよ~...久々の関西弁だったなあ」
七海先輩はしみじみと言った様子で呟いた。
「七海先輩の京都弁聞いてみたいです」
どのタイミングで手を差し出せば、いいのだろうか。
「え~...恥ずかしいかも。君が北海道弁?言ってくれたらいいよ」
「札幌は天変地異が起ころうとも標準語なんで、ほぼ訛りないですね。」
「なんでそんな頑なに否定するの!?」
俺は深呼吸をし、左手を七海先輩の右手に少しづつ近づけていった。
ゆっくり、ゆっくりと接近していき、とうとう七海先輩の柔くてすべすべで自分のより遥かに小さい手に触れた。
...七海先輩から触れてきたことは合ったが、こうして自分から行くのは初めてだ。
「あっ...」
突然のことで驚いたのか、七海先輩から軽く吐息が漏れる。
それからすぐに七海先輩は強く握り返してきた。
さっきより密着感が増してより柔らかさを感じられる。
心臓は今にも破裂しそうだし、手に感覚が研ぎ澄ませられ過ぎるせいかそれ以外の感覚が弱まっている気がした。
いくら、意識しようとしても今は七海先輩は以外は見えないし、見たくもない。
「...ふ、ふぅ~ん?」
七海先輩は頬を赤らめ、あたふたしながら呟いた。
「よ、よかったですかね?」
「...うん。君ならいいかも...?」
七海先輩は俺の身体にもたれ込むように一歩近づいてきた。
これはもう、手繋ぎというよりは腕に抱き着いてきていると言った方が近いだろう。
「...そ、それに今日は寒いし!...人肌?恋しき日だよね」
「で、ですよね?恋しいですよね~」
ちなみに今日は朝にしては珍しく、気温が高い日で高校からも水筒の持参を推奨された。
「...だからさ、もうちょっと手繋いでいこうよ...?むっつりスケベくん!」
「どうしてそうなるんですか!?」
「別に~」
七海先輩はこちらをみながらにまにまと微笑んできた。
こうして紆余曲折はあったものの、俺は一応は成功を収めたのだった。
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