恋愛相談と苦悩
「......なるほどねえ~」
あれから二日後、つまりは月曜日、俺はちさとに例の違和感を相談していた。
というか、昼休みになるなり「絶対に何かあったでしょ!?」と迫られたという方が近いだろう。
一応、以前そういう色恋沙汰になった時にはちさとに報告するみたいになったから、その手前言うしかなかった。
「でも、正直恋とかではないと思うんだよ。条件を満たせれば、誰でもよかったっていうか」
...そう、あれは恋ではない。
以前から薄々勘づいてはいたが、元カノの時も俺は相手が魅力的に思えたから好きになったのではなく、誰かを好きになるという状態を欲していたから好きになったのだ。
本当に、独善的で気持ち悪くて悍ましい。
「正直、世の中のカップルだって最初はそうだと思うよ。運命の糸とか出会いなんておとぎ話にしかないわけだし」
確かに「彼氏、彼女ほしい~」とか言って付き合ているやつも多い気がする。
「ああ...そんな紙よりぺらぺらな関係だから、少子化とか離婚率高いのかな」
「世のカップルさんたちに怒られるよ!?時を一緒に刻むことによって本物になっていくんじゃないのかな?」
......本物。
例えば。例えばの話だ。
おばさんと高田さんのあの歪な関係も本物になっていくのだろうか。
俺は時を重ねればとか本物とか抽象的にして相手を丸め込むような詭弁めいた言葉が嫌いだ。
「というか、元カノのことはもう割り切れたの?」
「それもあるんだよな...正直、寝る前とか今もたまに思い出しちゃったりするんだよね」
「う~ん。でも、男は相手を記録していって女は上書きとか言うしそんなものなんじゃないかな」
でも、それは所謂恋の定義に沿った意味になるだろうか。
思春期の馬鹿野郎だからかもしれないが、記録とか上履きとか自分たちの愚かさや浅ましさをを許容してもらいたいやつらが、男女とか大きい主語を使い自分の主義主張を一般化しているようにしか思えない。
「...やっぱり難しいよね」
ちさとは何かを察したのか優し気な表情を浮かべながら、椅子を近づけてきた。
「長い付き合いだからさ、言葉にはできないけど陽大が何を考えてるかは大体わかる。でもさ、話し合って話し合って二人が見つけた答えだったら陽大が恐れてるようなことは起こらないんじゃないのかな?なんて」
「...できるかな」
そんなことが可能なら、絶対に挑戦はしてみたい。
例え、失敗したとしても細胞レベルで新しい自分になれる気がした。
でも.....
「できる!」
ちさとは俺の両手を握りぶらんぶらんと上下に揺らしてきた。
「まずはさ、手から握ってみようよ」
「え......?」
「大丈夫大丈夫!ちさとんメソッドがあるから!」
こうして俺とちさとの協力関係は幕を開けたのだった。
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