元カノに遭遇と夜の散歩
「どこ行くの?」
手繋ぎから数日経ち少し落ち着いてきた夜。
俺はテレビを見る七海先輩を横目にコートを着ていた。
「実は明日、るな模試あるんですよね。だから明日の朝、あいつの家に行ってお弁当を届ける約束してるんですけど、るなが昔から好きな市販のお惣菜を切らしてしまって」
手作りのものもいっぱいあるのに、昔からチキチキバーンだけには勝てなかった...!
何だか癪だが、それでも明日はるなに取って人生の転換点にすらなる大切な日なのだ。
好物くらい入れてやりたいというのが従兄心である。
「...そっか。なら、私もついて行こうかな?ちょっと小腹すいたし」
「はい。それはいいですけど、どうかしましたか...?なんか、お母さんみたいな目してますよ」
「...べっつに~どうもしてませんけどー」
何だか、七海先輩が生暖かい目で見つめてきて気まずいが、俺たちは戸締りを確認して家を出たのだった。
「あ~あそこお店閉めちゃったんだねー」
買い物が終わり、俺と七海先輩は繁華街を歩いていた。
とはいえ、まだ7時30分ごろなので学生や主婦の姿も多くみられる。
「あそこ、新しくスターマックスが出来るらしいですよ」
先ほどまでは夜風が肌に刺さると言った感じだったが、今はそれがなくちょうど良い。
夜空を黄金に照らす月も欠けることなくハッキリと見えているし、星々もそれに負けじと輝いており、あたかも壮大で幻想的な絵画を鑑賞しているようだ。
「...やった!ならさ...今度行こうよ?」
「いいですね。実は興味あったんですけど、注文の呪文が分からなくていけてなかったんですね」
......グランデ、トールはイタリア語ですよね、わかりますわかります。
でもトゥーゴー、フォーヒアーって...どうして急にイングリッシュになっちゃったんだよ!?
「...呪文って君も中々に拗らせぼーいだよね~普通に頼むだけなのに」
「それが陰キャには難しいんですよ...」
いつもこういう時だった。
こういう時に限って突然、現状をかき乱される。
雑談していると何故か俺は後ろから七海先輩に抱き着かれた。
何を意図しているのか分からないが両手で俺の両眼も塞がれている。
「ど、どうしてんですか」
「別に、抱き着きたいだけかな」
七海先輩の声色も先ほどとは打って変わってどこか硬い。
俺は僅かに開いている隙間から目を凝らし、辺りを見回した。
するとここから真っ直ぐの予備校に見慣れた男女がいた。
「.......」
それは数カ月前に分かれた元カノとその彼氏である元友達だった。
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