友達と学校をバックレよう
「やっほ~!彼女持ちさーん」
翌日の朝、ちさとはいつも通りの笑みを浮かべて、話しかけてきた。
「...もし、この短期間で彼女作れるようなコミュ力あったらこんな拗れてねーよ」
「絶妙にいじりにくい卑屈な感じやめてよ!?」
いつも通りの笑みを浮かべ、いつも通りくだらない事を言ってくる悪友。
何も変わらないはずなのに、どこか生気がなく目が虚ろな感じがした。
それに目も腫れている。
まるで、さっきまでずっと泣いていたように。
それによく見ると右手首に絆創膏も貼ってある。
もし、かして自分で自分を...
...こうも嫌な予感がするのは俺の邪推なのだろうか。
どうしても、昨日見た後ろ姿以来、不安が拭えない。
「俺は常にネガティブ思考だからな~ちさとはそういう事ないのか?」
俺がそう問うとちさとの顔が僅かに強張った。
すぐにまた取り繕ったような表情を浮かべたが、長年友達をやっている俺を誤魔化せられる訳がない。
「...ないかなー?ほら、私ってポジティブの権化じゃん?」
「初耳だよ...まあ、いいか。最近辛いことはない?」
「誰目線!?親とか先生みたいな質問するね」
俺の考え過ぎなのかもしれない。
俺には友達が二人しかいないから。
大切に思うがあまり酷く勘違いしている可能性だってある。
ただ、昨日と今日は調子が悪いだけかもしれない。
具合悪いから、寝不足だから、イライラしてるから、こんな感じの可能性の方が確率論で言えば高いだろう。
でも、今動き出さなければいけないような気がした。
今、動き出せなければ俺は今までのように一生人からの優しさを一方的に享受し続ける化け物になってしまう気がした。
やるしかないのだ。
七海先輩が手を差し伸べてくれたように。
「実際、保護者みたいな物だしな~」
「そんなことないよー私、自立してる大人だもんー」
「勉強は教えてるし、弁当のおかずもやってるし、よくノートも見せてやってるだろ」
「た、確かに!」
「あっさり認めちゃうのかよ...」
ならば、今の俺に出来ることは一つしかない。
「...ならさ、逆に陽大は最近なんか辛い事ないの?」
そんなの数えきれない程にある。
家族の問題、元カノとのこと、七海先輩の負担になり過ぎてないだろうかだとか言い出したらキリがないない程に。
「めちゃくちゃあるな。もう、あり過ぎてやばい」
「はいはいーいつもの卑屈ね」
「だからさ、今日このまま学校サボって遊びに行かないか?」
今の俺に出来ることは一つである。
元カノにフラれても一緒にいてくれて、どんな時にも俺の肩を持って優しくしてくれた友達。
今、俺が出来ることはただ話し合うことだけだ。
「え?真面目くんの陽大くんがどうしたの!?」
「今日限定でぐれたんだよ」
心配させてもいけないので、俺は七海先輩に『すみません。ちょっと色々あって、ちさとと学校早退して遊んできます』と送っておいた。
困惑した様子のちさとの瞳を見つめる。
「...わかった、ならサボっろか...陽大もワルだなー」
「...今日だけだけどな」
こうして俺とちさとは腹痛と言い学校を出たのだった。
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