七海先輩と同級生
「えー...ともしかして、陽大の彼女って七海 紗凪先輩?」
ちさとは七海先輩に聞こえないように小さな声で耳打ちしてきた。
「...んな訳ないだろ!委員会が同じだから友達として仲が良いだけだよ!」
というか、俺みたいなヤツが彼氏とか七海先輩に失礼である。
「えー?でも、それにしては距離近くな~い?ガチ恋距離ってやつ?」
「何だよその距離...普通に友達だよ友達」
「へー、照れちゃって」
ちさとはどこか嬉しそうに俺と七海先輩を交互に見ながら呟いた。
「そんなに私たちって付き合ってるように見えるかな...?」
七海先輩も俺たちの会話が聞こえていたのか、状況で察したのかは分からないが頬を紅色に染めながらちさとに問いかけた。
「はい!」
「...そっか~...ふぅ~ん?だって...?」
七海先輩は黄金に輝いている髪をくるくると弄りながら呟いた。
その頬は先ほど以上に赤くなっており、口元も少し緩んでいる気がする。
「.......」
おそらく、こういう時になんて反応して良いか分からないからモテないのだろう。
「...マジなヤツなのか」
ちさとは俺と七海先輩を見つめながらどこか神妙そうな面持ちで呟いた。
「え?何が?」
あらかた、俺と七海先輩が本気で付き合っていると勘違いしたとかだろうが、七海先輩にも選ぶ権利があるのだ。
彼氏にわざわざ俺みたいなヤツを選ぶわけがないだろう。
というか俺が七海先輩だとしたら絶対に選ばない。
「ううん!何でもない!それじゃー夜遊びは程々にねー--!」
そういうとちさとは嵐のように去っていった。
でも、どこかその後ろ姿は悲壮感が合って俺は目が離せなかった。
「まーた、一人になるのかあああ~」
私は燦々と夜空に照り輝くISS を眺めながら笑顔で呟いた。
「いっそ、私も彼氏作っちゃうかなー」
でも、陽大や周りのヤツらが彼氏やら彼女を作ってもピンとこなかったのだ。
人生で一度も誰かに対して好意を持ったことがない、私が誰かと付き合っても相手を傷つけるだけに決まっている。
「難しいですなー--」
私は車のエンジン音しか聞こえてこない、夜道で一人でポツンと呟いた。
それは誰にも届くことなく闇に葬られていったのだった。
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