友達と友達バレ

「買い物手伝ってくれてありがとね~」

 あれから、数時間後。

 委員会の仕事をすべてやり終えた俺と七海先輩は夕食の食材を買いにスーパーに訪れた。

 今はその帰りである。

「いえいえ、っていうか食費は七海先輩持ちですし何か手伝わないとただのヒモになっちゃいますからね」

 それに、俺は何だかんだ言ってクズだからその状態が慣れていって罪悪感がなくなっていったら立派なクズ男が完成してしまう気がする。

「でも、前に比べて食費はかなり安くなったんだよ?」

「なんですか!?」

 先輩一人の時より今の方が食費が安いだなんて意味が分からない。

「...カレーしか作れないから、外食も結構多かっただよね~」

「な、なるほど」

 確かにカレーを365日食べ続けるなんて人間業ではないし、そうなるとやはり外食が多くなるのだろう。

「...それでも、流石にありえなくないですか?気を遣ってくれてるのなら、そういうの大丈夫ですよ」

 七海先輩なりの優しさというやつだろう。

 でも、対等な友達なのだからそういうのはなしでいきたい。

「......だったらいいんだけどね。ど、どうしても無駄遣いしいちゃうっていうか」

 七海先輩は家計簿をバックから取り出して渡してきた。

 なぜ、家計簿をわざわざ持ち運んでいるのかは置いておいて、俺は家計簿のページを開いた。

 しっかり者の七海先輩の事だ。

 多くても3万くらいだろう。

「どれどれー...5万4000円!?」

「...う、うん」

 七海先輩は羞恥心からか頬を紅色に染め俯いた。

「ど、どうしたらこんな値段になるんですか!?」

「が、外食って美味しいからついつい食べ過ぎちゃったりとか、コンビニで無駄遣いしちゃったりとかね?」

 ...七海先輩は基本的に真面目で頼れる先輩なのだが、こういう所はどこか抜けてるよな...

「......七海先輩、これから一緒に金銭感覚直していきましょうね」

「わ、私の金銭感覚狂ってないし!...それにとりあえず、あと一週間は君がご飯作ってくれるんでしょ?」

 七海先輩はどこか後悔したような表情を浮かべた。

「...い、言わなければよかった!」

「俺は七海先輩のこともっと知れてよかったですけどね」

「...ばか」

 七海先輩は俺の服をくいくいと引っ張ってきた。

「あれ?陽大?」

 油断していたのが悪かったのかもしれない。

「ちさと!?」

 七海先輩と二人でいる時にちさとと出くわしてしまった。

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