第4話 チートといえばタイムリープだろ

 『俺が思ったことを全部かなえてほしい』というのが、俺の願いだった。


 だからとっさに「なかったことにしたい」と思ったみたいで、少し時間が巻き戻って、「つり合ってねーよな」という陰口が再び聞こえた。


 俺は意識して、さっきと同じことは思わないように気をつけた。


 おかしい。

 俺は最強のチートを手に入れたんだから、なににも気をつかわなくて良くなったんじゃないのか?


 ちらりとそんなことを考えたけど、目の前の彼女が神々しくて、それ以上は考えられなかった。


 でも、クラスメイトや見知らぬ誰かから陰口をたたかれることが、その日彼女と別れるまでにも数回、翌日からも無くならずずっと続いている。


 もちろん、俺は二度と直接的なことを願わないように気をつけているけれども、イラッとしたりウザッと思ったりするのをやめることは難しい。


 陰口にイラッとした瞬間、誰かが倒れたり、誰かの口が物理的に縫われたりして、そのたびに少し前に戻って、再び同じやりとりを繰り返した。


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