やっぱ馴れ初めは気になるよな1

時刻は夕刻、ダンジョンから帰ってきた冒険者で賑わうギルドの査定受付前にてギルド名物である素材の値段交渉が行われていた

「おいおい、あんだけ倒してこれっぽちかよ!」今目の前で声を荒げて抗議する男はグラさんというらしい

「流石にこの査定はなっとくできないっすよ」こちらはカイさんというらしい

「すみません。なにぶん頂いた素材の多くが損傷の激しい物でしたので...」

(あー心が痛い、査定してるの私じゃないから額上げられないしなあ)

「それは...ほら俺が奮闘した証みたいなもんじゃん?なんとかなんねえの?」

「上が決めたことですので...」

「グラ、受付さんが困ってるしさっさと酒場へ行こうぜ」

「ったくしょうがねえな。嬢ちゃん悪かった」

そう言い残し二人は出口の方へ歩いていく

あーやっと行ってくれた。受付の仕事楽しそうだから始めてみたけど思ったより大変だなあ

でも一人暮らしする為にはもっとお金要るし頑張らないと!


「あのーすいません」

考え事をしていたら目の前に人が来たことに気が付かなかった。いけないいけない切り替えないと

「あっすいません!査定ですか?」

そう聞くと眼前の魔法使いらしき人は首を振る

「いえ先ほど私のパーティーの人があなたに絡んでいたのでそのことを詫びたくて...

ホントにウチのバカがすいません」

そう言ってぺこりと頭を下げる

「いえいえ顔を上げて下さい!

これも仕事の内ですから!」

「かなり長い間絡まれていたようでホントにすいません」

「いえいえだいじょうぶですから!」

「すいませんすいませんすいませんetc」

そっからさっきの人達の仲間らしい彼女は赤べこのように頭を振りながら謝罪を繰り返す機械と化してしまう

(うーん、どうしたもんかなー。あっそうだ!)

「だったらあの人達とパーティを組むようになったキッカケを教えてくださいよ!

あの人達って問題児って言われてるカイさんとグラさんですよね?

前々からパーティに女の子がいるって聞いててなんでか不思議だったんですよ!!」

「えっそんなことで良いんですか?

そんなことで良ければいくらでも話しますけど」

「じゃあそれで決まりです!!私そろそろ上がりなのでどっか酒場にでも入って話しましょう!」

「わ、分かりました」

あれ、ちょっと引いてる?強引すぎたかな?でも前々から興味あったしオッケーしてくれたからいいか!

こうして仕事をあがった私は待ってもらっていた彼女と一緒に酒場へ向かったのでした。


ピーク真っ盛りの賑やかで厨房からは美味しそうな匂いが漂ってくる酒場に着いた私達は各々料理を頼むとどちらからともなく話し始めた

「言い忘れてた!私のことはピケって言います!」

「あっ私はレイって言います。

あの人達とパーティを組むようになった経緯でしたよね」

「そうそう!前々から気になってたんだよねえ。どちらも悪い意味で有名じゃん、特にグラさんの方はこの街の女性で知らない人は居ないし...」

そう言いながら運ばれてきた料理をつまむ

「まあ、そうですね。事情を知らない方々からしたら組んでる方がおかしいもんですしねえ」

「そうそう!!よっぽどの理由がなきゃ組まないじゃん!?あっもしかして弱みでも握られてたりする?うちで良ければ力になるよ?」

私の言葉に対して彼女は笑って首を振りながらこう返す

「いえ、そういう訳ではないんですが、うーん...どこから話しましょうか」

そういうと彼女は大切な宝箱を開けるように丁寧にゆっくりと語り始めた

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冒険者がバカやる話 シカオン @sikaon1

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