試験結果
「試験の結果、もう届くはずだけど」
王都で国家魔法師の試験を終えた私はロディア領に戻り、試験結果の通知を待っていた。こんな風に試験でどきどきするのはいつ以来だろう。なんとなく落ち着かない気分が続く日々だ。
「キリカさん」
扉の向こうから私を呼ぶ声がする。ヴィクトールさんのものだ。
「ヴィクトールさん。なにかありましたか?」
「あなた宛ての手紙ですよ。魔法庁からです」
「!?」
私は彼の言葉に慌てて扉を開く。扉の前ではヴィクトールさんが手紙を持って立っていた。彼は私に持っていた手紙を渡す、そうして中身を確認するように促してきた。
私は彼に指示に従い、手紙の封を開け、中身を確認する。
「どうでしたか?」
ヴィクトールさんが緊張した様子で私に尋ねてくる。手紙を確認するために下を向いていた私は顔をあげて結果を告げた。
「合格です!! やりました!!」
私は嬉しさのあまり子供のように無邪気な声をあげてはしゃいでしまう。
「本当によかった! あなたの努力がちゃんと報われることになって!」
私の回答を聞いたヴィクトールさんも嬉しそうに声をあげる。
「本当にありがとうございました! ヴィクトールさんのおかげですよ!」
「いいえ、あなたの弛まぬ努力のおかげですよ。誇りなさい、今、それが実ったのです」
元の世界に帰れるかもしれないという期待と誰かが自分のことで喜んでくれるのがうれしくて私の頬は自然と緩んでいた。
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