出立

「よし、必要なものは全部詰め込んだ」


 半年後、私は試験のある王都に向かって出立する準備をしていた。最終確認を終え、鞄に必要なものを詰め込み終えた時、扉をノックする音が聞こえた。


「キリカさん」

「ヴィクトールさん、半年間ありがとうございました。きちんと結果が出るように頑張ってきます」


 この半年間私はヴィクトールさんに座学も魔法の実技も厳しく鍛えられた。あの訓練を思い出すと悪寒がするのであまり思い出したくはないが、確実に自分の力となるものだった。


「あまり気負わずに。あなたの実力なら試験には必ず通りますよ」


 ヴィクトールさんは私の肩に手を乗せて励ますように言葉をかける。その気遣いがとても嬉しい。


「はい、教わったことをちゃんと生かして試験に通ってみせます」


 彼の言葉に私は力強く答える。この半年間のことを思えばこれから受ける試験なんてなんてことないように思えてくる。


「その意気ですよ。さあ、行ってきなさい」

「はい、行ってきます」


 彼の答えに答えるために私は王都に向かって旅立った。

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