3
「どうやら、あの村ですね。魔王の手に操られているのは」
「……ああ」
「さぁ、勇者様。一緒に世界を救いましょう」
チェチェリの町でミカの幻影と対峙してから、俺たちは今まで以上に世界を救うことに奔走した。
魔王の影響力は日増しに強まり、道中、助けようとした村から思わぬ反撃をされたこともあった。
その町の住人たちは、魔王に洗脳されていた。
生者でありながら、ただ死すまで魔王の命令で動き続けるだけの傀儡人形だ。
許さない、魔王。人間をこんな風に玩具のように扱うなんて。
けれど。
「剣を向けられたら、剣を向け返すしか俺には方法がない……なぁ、アリシア。俺は間違っているのか?」
剣の腕はそれなりにあれど、魔王の洗脳を解く
「やっぱり、落ちこぼれの勇者なんかに世界が救えるわけ……」
「弱気にならないでください! 魔王を倒して、ミカさんを救うんでしょう?」
アリシアが弱気になる俺を叱咤する。
「大丈夫。いつだってあなたは正しい。いつか事を成し遂げた時、世界だってきっとあなたを分かってくれるはずです」
「けど……」
「眠れないのなら、私が魔法をかけてあげます。幸せな夢を見れる魔法を」
「不思議だな。お前にそうされると落ち着く……」
「……言ったじゃないですか。癒やしの魔法は得意だって」
彼女の手で撫でられると強張った身体はゆっくりと解け、よく眠れた。
以前のような悪夢はもう見なかった。
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