プレイ6

 私は今、すももちゃんランドのある公園横に建っている廃墟へと来ていた。

 なぜここに来ることになったのかというと冒険者ギルドのマスターに私に丁度良い仕事ということでここの調査を斡旋されたのだ。

 普通初めての冒険者には薬草採取とか、ゴブリン退治などを斡旋するものじゃないの?とも思うけれども人形である私達には薬草何て必要ないし、そもそもこのゲームにゴブリンは存在していない。ゴブリン人形は存在しているかもしれないけれど。

 そんな訳でこのゲームにおける冒険者の仕事は滅びた人間の遺跡である建造物群の調査や人形に害を為す動植物の駆除が主なものになるそうである。


 今回私が調査するこの廃墟は元は普通の民家であったそうだ。

 人間滅亡後は勿論廃墟となり、公園にすももちゃんランドが建国されるや否や直ぐ様隅々まで調査され、危険性はないと既に確認されている。

 では、私は何を調査するのかというと野生動物が住み着いていないかどうかの調査である。

 公式記録によると最後の調査は約2年前であり、その後は行われていない。

 その為、野性動物が棲みかにしている可能性が非常に高く、すももちゃんランドに害をもたらすものかどうかを調べるのが私の仕事である。


「普通そういった事って、一民間企業の派遣社員がやるものではないと思うのだが。やっぱりこういう所はゲームなんだなあ。」


 自分やNPCが人形になって動いているのに現実味も何もないだろうと思われるかもしれないが、VRだからかいつの間にか現実と錯覚してしまうことがあるのだ。

 だからわざと所々に露骨にゲーム性を残しているのかもしれない。


「そんなことはさておき、中に入るか。」


 廃墟なのであちこちに入れそうな穴が空いていたが、そもそも扉が空いていたのでそこから入ることにした。

 入るとやはり中も廃墟となっており、床や壁、天井など至る所に穴が空いていた。


「人だったら問題ない大きさだが、今の人形サイズでは越えるのも一苦労するなあ。」


 もし仮に落ちたらどうなるのだろう?

 多少HPを削られるだけだろうか、それとも再起不能状態になるのだろうか?


 それはさておき、一回り一階は調査してみたが危険性のありそうな生物は見つけられなかった。

 いたとしても鼠ばかりで、こちらを視認するや否や一目散に逃げ出すばかりでまるで戦闘にならなかった。

 残る所は2階だけなので調査してみようと階段へと向かう途中、2階から大きな物音が聞こえてきた。

 それは鼠では到底出せない大きな音で、私は直ぐ様2階へと向かうことにした。

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