プレイ5

 冒険者ギルドはこの街に多いおもちゃによる継ぎ接ぎの建物とは異なり、建物ひとつがひとつのおもちゃで出来ているようだった。

 というよりは冒険者ギルドの建物というおもちゃがあるのかもしれない。

 もしくは西部劇のおもちゃか。

 まあ、そのせいで周りの景色との解離が大きく、冒険者ギルドだけがとても浮いて見えるのだが。


「さて、がわは統一感のあるようだが中ははどうかなあ?」


 私はそう言いながら冒険者ギルドの入り口扉、あの西部劇に出てくる扉の役割を果たしているのかいないのかよくわからない扉を開けて中に入っていった。

 冒険者ギルドの中は西部劇さながらな酒場になっていた。時間帯がそうなのか、客数は数えるほどで多くはなく、入り口正面奥に鎮座しているカウンターにこの酒場の主と思われる人形が立っていた。

 酒場の主と思われる人形は少し粗野な印象を受けるバーテンダーの格好をした二足歩行の水牛の姿をしており、とてもこの酒場に似合っていた。

 もしかしたら彼とこの建物はセットのおもちゃだったのかもしれない。


「そんな入り口に立ってちゃあ迷惑だ。用があるなら早く入ってくれ。」


「これは申し訳ない。興味深かったので。」


 私は彼の勧めに応じてカウンターへ向かった。カウンターに着くと彼は座るよう顎をしゃくり、「注文は?」と言ってきた。

 私は「手持ちが。」とお金がないので断ろうとしたが「奢りだ。」と言われたので折角なのでおすすめを一杯だけ頂いた。


「それで何の仕事が欲しいんだ?」


「おや、わかりますか。」


「当然だろ。ここは冒険者ギルドだ。新参者がここに来る用事といやあ、仕事の求人と相場が決まっていやがるのさ。」


「そういうものですか。」


「そういうもんだ。それで?もう一度言うが何の仕事を求めている?」


 正直ここには門番からおすすめされたから訪れただけで何か目的があった訳ではないのだが、まあ冒険者ギルドに興味があったのも事実、仕事をくれるのなら受けてみるのもありかもしれない。


「私はつい先程目覚めて連れて来られたばかりでね。何ができるのかもよくわかっていないんだ。それでもできる仕事はある?」


 私は正直に話すことにした。これで何もないのならしょうがないし、冒険者ギルドは他にもあるそうなのでそっちで探せば何かあるだろう。

 そんなどこか楽観的な考えもありながら言うと酒場の主の彼は事も無げに言った。


「あるよ。」

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