プレイ4

 私がこのすももちゃんランドを拠点にする決意を固め、その事をすももちゃんさん本人に告げると彼もしくは彼女はそれはそれは大層に喜び自分がこの街を案内してやろうと意気込んでいた。

 しかし、すももちゃんさんと一緒に街の出入口である門まで近付くと街に入ろうとしている人形の列を整理していた門番と思われる猫のぬいぐるみがすももちゃんさんに気付いて一目散にこちらに走って来ていた。


「すももちゃん、どこ行っていたのさ‼️メロンちゃんが呼んでいるよ‼️」


「げぇ、マジかよ。あいつ何か言ってたか?」


 猫のぬいぐるみ門番はすももちゃんさんに近付きそう言うとすももちゃんさんはこのように返答し、それから彼らはなにやら二言三言言葉を交わし一段落がついた頃、すももちゃんさんが猫のぬいぐるみ門番から私に向き直り謝ってきた。


「すまねぇ‼️俺これから行かなくちゃいけなくなった。だから今度埋め合わせするから。」


「ああ、まあ用事があるならしょうがないし。仕方ないよ。」


「本当すまねぇ。」


 すももちゃんさんはそう言いながら私に何度も謝りながら猫のぬいぐるみ門番に連れられながら去っていった。

 私としてはこの流れがゲームの規定路線なのかどうかはわからないが、用事があるのなら仕方ないし別に残念だとも思わなかった。

 それよりも相方が突然居なくなって業務量が倍増したもうひとりの門番の方が気にかかった位である。

 そんなこんなで一騒動あったものの、それ以降は列移動に時間がかかったくらいで何事もなく街に入ることができた。

 それに検問時に疲れきっていた門番に拠点にするので行くべきところを聞いた所、冒険者ギルドと宿屋をいくつか紹介された。

 私は門番の勧めに応じるままに彼に紹介された冒険者ギルドを目指すことにした。


「確かここをこう行って、それからああ行ってっと。」


 私は門番に教えられた道順に従って冒険者ギルドを目指していた。

 その道すがら私は様々なものを見た。

 大路の商店達もそうだが、裏路地でひっそりと佇む小規模な飲食店やカンカンと金属を打ち付ける音が響く鍛冶屋、路上で花を咲かせるおもちゃ達、そこにはデータ上ではなく実際に息づいているかのような生活感を私に感じさせた。

 そんな様々ことひとつひとつにわくわくした楽しさと興味を引かれながら私は冒険者ギルドへとたどり着いた。

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