プレイ3
『NPCと初めての友好を得ました。』
この文字がポップされた時はいったい何のことだ?と思ったものの、要は目の前にいるすももちゃんさんと友達になりましたよという示す何てことはないことであった。
このポップされた文字は私にしか見えていないようですももちゃんさんに聞いても『何言ってんだ、こいつ?』みたいな反応を返されるだけであった。
「それよりよ、ポテトさあ。行く宛が無いんならさ。家来ねぇか?」
「家とは?」
「家つうか、街なんだけどさあ。ここの近くに俺たちが築いた街があってさ。偶にポテトみたい目覚め立ての人形をさ、招待してんだよ。何か行く宛があるなら良いけどよ、無いなら招待するぜ。」
すももちゃんさんがそう言うや否や私の目の前にまたもや音を立てて文字ポップした。
『すももちゃんの招待に応じますか?Yes/No』
私は行く宛もないし、何か目的があるわけでもないのですももちゃんさんの招待を快く受けた。
するとまた音を立てて文字がポップした。
『すももちゃんランドに行くことができるようになりました。』
どうやらこれから行く場所はすももちゃんランドというらしい。
名前が示す通りならばそこはすももちゃんさんが治める地なのだろう。
「おう、嬉しいぜ。それじゃあ、ついてきてくれ。」
行くことを受諾した後、すももちゃんさんはそう言うと私をすももちゃんランドに案内しだした。
道中はこれといって何事もなく、時折すももちゃんさんが道端に生えている雑草の名前を教えてくれたり、すももちゃんランドがどんな所かを教えてくれた。
暫く私が出現した道をガードレール沿いに移動し、途中何回か十字路を通ると目の前に公園が現れた。
すももちゃんさんは迷いなく公園の中に入り、ブランコや砂場などの遊具を通りすぎて広場へと足を向けた。
「ここが俺の街、すももちゃんランドだ。」
すももちゃんさんが足を留めた先にはひとつの街が広がっていた。
その街の四方をレ◯ブロックか何かを積み上げた壁で囲まれており、壁の上部でおもちゃの兵隊達がおもちゃの弓か何かで武装しながら壁外を警戒するように巡回していた。
壁の内側ではジオラマやプラモデルの部品、段ボールなどで複雑に組み上げられた建物が目に入り、中央を通る大路には人形達が経営する様々な店が建ち並び、糸やボタン、ビーズや布の端切れなどの物品を売っていた。
また街の上には雨風を防げるように取手を地面に埋められたビニール傘が広げられていて、風などで倒れ落ちてこないように傘の各骨格部分と壁をピアノ線か何かの細い糸を束ねた綱で繋いでいるようであった。
私はこの光景を見た当初からこの街を気に入り、この街を私の拠点とすることを決意するのであった。
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