第10話 エピローグ
あの後、ゲイルたちはドラゴンの様子。もといドラゴンとゲイルたちの戦闘を見ていたギルドの観測員たちによって
何で死んでいないのかおかしいレベルの負傷をしていたにもかかわらず、
「まさか本当にたった二人でドラゴンを討伐してしまうとはね」
副ギルドマスターと北の町のギルドマスターが呆れたように、観測隊から渡された資料に目を通していた。
普通の魔物であれば、討伐の証となる物を持ち帰るだけで終わるが、彼らはドラゴンの亡骸を持って山を下りて来た。その結果、町に戻ってきた二人を伝承と同じ英雄として担ぎ上げ、お祭りをはじめていた。
「まったく。いつのまにか予想の斜め上を突っ走るような奴になったもんだな」
雨すら気にせず、飲めや歌えの大宴会となった迎撃拠点を羨むように眺めながらギルドマスターは酒を飲み干す。
「そうですね。あの二人がタッグを組むように指示した人は、一体何者なんですかね?」
「さあな。相当優秀な重鎮だったんだろうな」
二人は真剣に考えていたが、的外れな予想をしていただけだった。
ドラゴンの討伐から数日後。
「できたぞ。お前らの新しい装備だ」
北の町の武具屋を兼任している店主の工房で、二人は新しい装備を受け取っていた。
「軽いな。こいつ本当にドラゴンの素材使ってんのか?」
「確かに凄いな」
ゲイルたちは
「お前らの使っていたのは砂漠の竜の素材だったろ? あれはほとんどが傷だらけの劣悪なものだ。それに比べて今回のはドラゴンの鱗や爪、それに翼膜なんかもほとんど傷がない状態だったからな。作れるものの質が全然違う」
ドラゴンの素材をゲイルとジークの二人分の装備の為だけに使い込み、作られたものである。鱗数枚を慎重に丁寧に使い作られたものとは異なり、ドラゴンの素材純度が違った。
他の素材を最低限まで絞り、素材同士のつなぎ程度まで抑えていた。その結果ドラゴンの素材の持つ性質を極限まで活かした装備へとなっていた。
「これ本当に
「ああ。これだけの量のドラゴンの素材を加工させてもらうなんて、このドワーフ生もう二度とないようなことだ。その加工の権利だけでもお釣りを渡したいくらいだ」
店主はドラゴンの素材を加工できただけで満足していた。
「んじゃ、遠慮なくもらってくぜ。ありがとな」
「そうだな。ありがたく頂いていこう」
ゲイルたちは良い装備を仕立ててもらい、満足そうに工房を後にした。
「この後はどうするか」
ジークはドラゴンの討伐した後、どこに向かうかを考えていなかった。
「なら、極東の国に行こうぜ」
ゲイルは紅鴉を作ったとされる場所。極東の島国に行こうと提案してくる。
「そうだな。行く当ても特にないから、そこにするか」
ジークは、北の町から東の港町へ向かうというキャラバンに護衛任務の交渉してきた。ギルド経由ではない依頼を受けてきたが、キャラバンの責任者も竜殺しの英雄が護衛してくれることを喜んでいた。
「極東に向けてしゅっぱーつ!」
キャラバンと共にゲイルたちは新しい旅に出て行った。
ウェポンマスターとアークウィザードと みない @minaisan
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