観察手記と日記帳 Ⅷ

【科学者の観察手記】



 被験生物の記録 №15


 夜中、テップを連れて研究所内を歩いてみた。

 テップは睡眠が不要なのか?

 昼間に休眠している様子は無かったし、夜中でも元気そうだ。


 この手記の主旨と違うが、頭の整理のために書く。

 まず、研究所の各部屋を回ってみたが殆ど施錠されていた。

 物音や人間の気配は全くないし、厨房の食材は弟子と私の分程しかない。

 何か大きな研究プロジェクトにうちが参加していて誰もいない、という可能性はあるが。

 しかし私の耳に入らないはずがない。

 とすると……私が研究に没頭している間に何かあったか。

 そして、私には知られたくないから外に出したがらないのかもしれない。

 これは、彼女に訊いてみる必要があるな。



 ────ここで、彼女の手記は終わっている。



 ◇◇



【弟子の日記】



 六月二十二日


 先輩に「夜、話がある」と言われた。

 何だろう、悪い話でなければ良いのだけど。



「……時間だ、行こう」

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