観察手記と日記帳 Ⅲ

【科学者の観察手記】



 被験生物の記録 №5


 飼育ケースに土を敷き、その上に新鮮な葉や切った野菜、それから水を器に入れてからテップを中に入れてみた。

 六時間後、確認すると水は半分ほど減っていたが葉や野菜を食んだ形跡は無かった。

 植物からは水分を摂取しないのだろうか。

 そのあと飼育ケースごとテップを日光に当てようとしたところ、いつの間にか飼育ケースから脱走し空の試験管から顔を出して日光浴をしていた。

 躰に変化は見られないが、日光浴中は触手が揺れていた。

 お気に召したようで何より。



 ◇◇



【弟子の日記】



 六月十二日


 今日はテップに水や日光などは必要かどうかを先輩と観察した。

 昨日食料調達しておいたおかげで、先輩と一日中一緒にいることができて幸せだった。

 先輩が研究室に籠る”集中型”で本当に良かったと思う。

 でなければ……いや、考えるのはよそう。

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