第14話 これまで、これから

 その日は、けたたましく鳴るスマホのアラームの音で、俺は目を覚ました。


「……6時か」


 今日は、いよいよ大会当日だ。

 バドミントン部員は一度学校に集合して荷物を準備してから試合会場に向かうため、7時半までに登校しなければならなかった。

 ちなみに今日は平日なのだが、公欠という形で学校は欠席することになっている。

 とはいえ、一度登校することに変わりはないのだが。


 眠い頭を無理やり叩き起こしてベッドから降り、大きく伸びをした。


「んん…………はあ」


 いよいよこの日が来てしまった。

 応援してくれる部活の仲間や後輩、家族のためにも不甲斐ない試合は決してできない。

 昨日の夜、海外にいる両親からもメールが来ていた。

 気張らず頑張れよ、と言った内容で、プレッシャーにならないよう気を遣ったんだな……という文面だった。


(……とはいえ、頑張らないとなあ)


 リラックスしつつ全力を出す。果たしてそんな余裕があるだろうか。

 今からあれこれ考えても仕方ない。寝間着から着替え、荷物の確認を済ませると俺は部屋を出た。


「あ、お兄ちゃん。おはようございます」


 リビングに入ると、エプロン姿の小春が朝から元気よく出迎えてくれた。


「おはよう、小春。朝から元気だな」

「お兄ちゃんの大事な大会の日だなって思ったら、なんだか早く目が覚めちゃって」

「……そっか。ありがとな」

「いえいえ。朝ごはんできてますよ、すぐ食べますか?」

「いただこうかな。早い時間からありがとう」

「うふふ、大好きなお兄ちゃんのためですから」


 そう言うと、小春はパタパタと台所に戻っていった。

 顔ぐらいは洗っておくか。

 まだ半分寝ぼけていた俺は、洗面所のドアを勢いよく開けた。


 ……これが失敗だったと気づいたのは、10秒ほど後だった。


「……へ」

「……あ」


 そこにいたのは、バスタオルを体に巻き、髪を濡らしたままの幸薄そうな美少女────雪村千冬だった。

 そうだった。昨日は千冬がいつもの通り泊まりに来ていたんだった。


「あ、あ、あ、あの、はるやにいさん」


 純白の肌は熱を帯びて普段より赤みがさしており、水に濡れた髪がなんとも艶かし……じゃなくて!

 何俺は冷静に従妹の裸を観察しようとしてるんだ!


「す、すまん!」


 俺は急いで洗面所を出て、ピシャリとドアを閉めた。

 大事な日なのになんてことを……。

 今日は大事な部活の大会。もちろんそれは俺にとってだけではなく、千冬にとってもそうなのだ。

 完全にやってしまった。千冬に──主にメンタル面において──何かよくない影響が出てしまうかもしれない。

 千冬が出てきたらとにかく謝ろう……。


 とぼとぼとリビングに戻ってくると、パタパタと小春が駆け寄ってきた。


「あ、お兄ちゃん!? 洗面所は千冬ちゃんがいるから……って、もう遅かったかな……」

「ああ、悪い……。もうやらかした……」

「先に伝えておけばよかったね、ごめん」

「いや、俺が気づかなかったのが悪いよ。あとで千冬にはちゃんと謝っておく……」

「そうですね、そうしてあげてください……。とりあえず、ご飯の用意ができたのでどうぞ」

「ああ、ありがとう」


 気を取り直して席に着くと、テーブルには美味しそうな朝食が並んでいた。

 豆腐の味噌汁にサバの味噌煮、そして白いご飯という完璧すぎるラインナップだった。


「いつも悪いな、料理任せちゃって」

「いいんですよ、大好きな家族のためですから。大会、頑張ってくださいね」

「ありがとう。悔いのないように頑張るよ」

「応援行けないのが残念です、小春も授業休んで行っちゃおうかな」

「……ダメだぞ。ちゃんと受けてこいよな」

「はあい。学校からお兄ちゃんのこと、応援してますね。もちろん千冬ちゃんも」


 そう言って小春が視線をやった先には、スポーツ用のシャツと短パンを着用した千冬が歩いてくるところだった。


「え、あ、う、うん……。ありがとう、頑張るね」


 お互い頑張ろうな。そう声をかけようとして千冬の方を見ると……。

 さっと目線を逸らされてしまった。

 下ろした髪で隠れてしまっているためわかりにくいのだが、よく見ると耳まで真っ赤になっている。

 そりゃそうか。嫌だったよな……。謝罪が先だな。


「千冬……その、さっきのことなんだが……」

「あ、春也兄さん、その……」


「「ごめんなさい!」」


「え?」


 俺はともかく、何故千冬から謝罪の言葉が出てくるんだ。

 千冬が謝る必要はないだろう。


「いや、ドアを確認なしに開けちゃったのは俺の方だから……千冬は謝る必要ないと思うんだけど」

「い、いえ……私が出てきたタイミングが悪いですし……。それに、大会当日の大事に朝に私なんかの貧相な体を見せてしまって……その、ご気分を害されたのでは、と……」

「なんで見た方が気分を害するんだよ、逆だろ。千冬だって男の人に体見られるのは嫌だろ?」

「あ、いえ、でも春也兄さんになら……その……」


 おい待て、どういうことだ。我が従妹ながら心配になってきた。

 年頃の女の子が、家族とはいえ同世代の男子に裸を見られて嫌がるどころか見てしまった相手の心配をするとは。良くない。実に良くない。


「あのなあ千冬……」

「はいはい、お兄ちゃんも千冬ちゃんもそこまで。ご飯が冷めちゃうから、先に食べて?」

「す、すまん……」

「ごめんなさい……」


 小春の仲裁で矛を収めた俺たちは、いただきます、と手を合わせて食事を始めた。

 先程同様口にするタイミングが被ったが、さっきと違ってなんだか嬉しくなった。


 朝から感じていた緊張もいつの間にかほぐれて、食事がとても美味しく感じた。

 ギアが上がったような、エンジンがかかったような──そんな感覚が、確かに身体に走っていた。



☆☆☆★★★☆☆☆



 会場に着くと、異様な熱気が渦巻いていた。

 当然だな、と春也は思った。

 1年の中で一番大きな大会。3年生にとっては最後の大会であるというのは万人の知るところではあるが、1・2年生にとっても大事な大会であるというのは間違いない。

 そんな中で、勝ち進むのは……頂点に立つのは俺・私だという周りの熱意や本気が、肌にまでビリビリと伝わってくるようだった。


 室内アリーナの2階にある客席の一角に荷物を置き、部員たちが全員集合しているか点呼を取る。

 もちろん学校で全員集合──当日の欠席者はいなかった──を確認してから来ているはずなので、この場にも全員いるはずなのだが……。


「……広瀬。弦田はどこ行った?」

「……先輩、アタシにもわからないです」

「……そうだよな。すまん、ちょっと探しに行ってもらってもいいか」

「……もちろんです、ちょっと行ってきます」


 マイペースガールの弦田がいなくなっていた。

 あいつ、本当に目を離すとすぐ消えるから困ったもんだ。

 以前の大会の時も、ミーティングしようとしたら飲み物買いに行ってたりするし、あいつの試合が始まる5分前に「外におさんぽ行ってきます!」とか言い出したりするし……。困ったもんだ。

 次の大会の時はあらかじめ口酸っぱく言っておかないと……。


「……あ」


 そこまで考えて、『次の大会』はないかもしれないということを思い出した。

 なんとも言い難い寂寥感に襲われる。どうにも調子が狂ってしまうというか。

 負けたくないな。今日で終わりたくない。そんな気持ちが、徐々に熱を帯び始めた。


「先輩、見つけてきました!」


 温度を上げ始めた感情は、弦田の首根っこを引きずりながらやってきた広瀬の声で落ち着きを取り戻した。


「ありがとな、広瀬。助かったよ」

「せんぱーい、わたし飲み物買ってきただけですー」

「着いたら最初にミーティングするって言ったろうが、ちゃんと聞け」

「……はーい」


 不服そうな弦田は放っておいて、一度周りを見渡す。

 今度は全部員ちゃんと揃っているようだった。


「よし、全員いるな。じゃあ、ミーティング始めるぞ」


 これが最後のミーティングかもしれない。

 俺はいつもより背筋が伸びているのを感じながら────ケガのないようにストレッチを忘れないようにしよう。大事な大会だからこそリラックスして挑もう。3年生は悔いの残らないよう十全に準備をして試合に臨もう。


 そんなことを、熱を込めて伝えた。

 それは、いつもより心臓の鼓動が早鐘を打ち始めた自分に向けての言葉でもあった。



☆☆☆★★★☆☆☆



「はあっ、はあっ……」


 乱れた呼吸は、いつまで経っても元に戻らなかった。

 相手の選手と握手を終え、タオルで汗を拭き、スポーツドリンクを飲み干しても。


 準々決勝。あとひとつ勝てば上の大会に駒を進められ、少なくとも6月半ばまでは部活を続けられる。

 そんな試合だった。

 対戦相手は第1シードの他校の3年生。前回大会の優勝者だった。

 とはいえ、俺は一度公式戦で彼を破ったことがある。

 勝てない相手では決してない。


 大会委員のアナウンスを受け、コートに向かった。

 コート脇に荷物を置き、アップも済んだ。

 よろしくお願いします、と相手の選手と握手をする。


 試合の火蓋は、そうして切って落とされた。


(いい試合だったな、本当に……)


 荷物を片付け、客席に戻ろうとすると、ホールに張り出されたトーナメント表に更新が加えられる瞬間だった。

 キュッキュッ、とペンを走らせる無機質な音が耳に入る。

 勝ち残ったことを指し示す赤い線は、対戦相手の方に書き加えられていた。


 そう、俺は負けた。


「マッチウォンバイ、────!」


 その後に聞こえてきたのは俺の名前じゃなかった。

 審判の声が、まだ耳の奥にこびりついていた。


 引退か。まだ、実感は湧かない。

 むしろ、全力を出し切って、第1シードの選手と激戦を繰り広げられたことで満足感さえあった。

 やり切った。俺は、やり切ったのだ。

 でも……。


(今は、風に当たりたいな──)


 サポートに入ってくれていた1年の男子に荷物を任せ、一度外の風に当たりに行くことにした。


 上着だけ羽織り、一度体育館の外に出る。

 少しばかり残っているスポーツドリンクを飲み干すと、俺は入り口の階段に腰掛けた。


 空を仰ぐと、青空がとても綺麗だった。

 初夏の風が、どうしようもなく気持ちよかった。

 ひんやりと冷えた日陰の石段が、熱った体には心地よかった。


 心に浮かんだ言葉は、自然と口から漏れていた。


「……負けちゃったな」

「……お疲れ様でした、先輩」


 独り言に返事をされると思っていなかった俺は、声の主の方を振り向かずに答えを返した。


「……広瀬か。試合、終わったのか?」

「あったりまえです、ストレート勝ちですよ」

「そっか、よかったな」

「……先輩は、本当に惜しかったですね」

「……そうだな」


 後輩の優しさに、目頭が熱くなる。

 あれ、おかしいな。空いてる右手で顔を覆う。

 まだ、泣いてない。泣いてないぞ。

 ……泣かないって、思ってたんだけどな。


「え、先輩もしかして泣いてます?」

「いや、まだ泣いてない。泣きそうになってるだけだ」

「泣くなら千冬ちゃんのとこにしてください。……あの子、先輩の試合終わった後過呼吸になるぐらい泣いてましたから」

「え、千冬が……? そりゃまたなんで」

「『なんで』!? 先輩ってほんとバカですよね!」

「おい、負けたばっかの先輩を罵るな。さっきの優しさはどこ行ったんだ」

「それとこれとは話が別です! ほら、ある程度涼んだでしょ? 早く千冬ちゃんのとこ行ってあげてください。2階のテラスのとこにいますから」

「あ、ああ……」


 広瀬に強く言われ、俺は千冬を探しに歩くことにした。

 ……いや待て、なんで負けた俺が泣いてる後輩を慰めに行くんだ。

 どういう状況なんだよ、本当に。


「先輩!」


 2階に戻ろうと、歩を進め広瀬とすれ違おうとした瞬間。

 広瀬の大きな声が聞こえた。


「……お疲れ様でした! 1年間、お世話になりました!」

「……頑張れよ、新部長」

「……はい!」


 俺は振り返らなかった。広瀬の声には、涙が滲んでいるような声色だった。


 振り返らなかったのは、広瀬の涙を見ないようにしたからだろうか。

 それとも────今俺の頬を伝う、大粒の涙を見せないようにするためだろうか。


 広瀬、この後も頑張れよ。

 その言葉は、喉から出なかった。出せなかった。



☆☆☆★★★☆☆☆



 2階のテラス──この体育館は運動施設としてかなり規模が大きく、トレーニングルームや休憩用のフリースペースなどがかなり揃っており、テラスもそういったもののひとつだ──に向かうと、そこにいたのはタオルで顔を覆った千冬と、心配そうに背中をさする藤島だった。

 こちらが声をかける前に藤島が気づいてくれたようで、「あ、先輩」と小さく声を出した。


「……先輩、お疲れ様でした。惜しかったですね……」

「……ありがとな、藤島。そっちは千冬か?」

「はい、そうです。先輩の試合が終わってからずっと泣きじゃくってて……」

「広瀬から聞いたよ。なんで俺の試合結果で千冬が泣くんだろうな……」

「『なんで』!? 先輩ってもしかしてバカなんですか?」

「広瀬と同じようなこと言うなよ……。それはともかく、千冬のこと見ててくれてありがとな。藤島はまだ試合残ってるだろ、行っていいぞ」

「ありがとうございます。あ、でも、千冬ちゃんもまだ試合が残ってるので……落ち着いたら準備させてあげてくださいね」

「おう、わかった」


 それじゃ、と頭を下げて、藤島は走っていってしまった。

 さて……と。


「……千冬、大丈夫か?」

「はる、やにいざ、ん……えぐっ、あの、ぞの」

「無理して喋んなくていいよ。水、飲めそうか?」


 泣きじゃくる千冬に、俺は道すがら買ってきたミネラルウォーターを渡す。

 広瀬から話を聞いて、それだけ泣いているならば脱水に陥ってしまうのではないかと心配したからだ。


「ありが、とう、ござ、います……うっ……」


 俺からそっと水を受け取ると、一口ずつくぴ、くぴ、と飲み始めた。

 顔を上げたところを見ると、瞼は腫れてしまいすっかり真っ赤になっていた。


(俺のために、そんなに泣いてくれたんだな)


 理由は俺にはわからない──広瀬にも藤島にも『バカ』と言われたが──けれど、そんなに涙を流すぐらいに、真剣に従兄である俺の勝利を願ってくれたのは本当に嬉しかった。


「ありがとな、千冬。俺のことそんなに応援してくれて」

「で、も。はるやにいさんは、にいさんが」

「うん、負けちゃったよ。でも、あそこまで頑張れたのは千冬たちが応援してくれたおかげだよ」

「う、でも」

「でも?」


 ずずっ、と鼻を啜る千冬。使う? とポケットティッシュを渡すと、ちーんと鼻を噛んだ。

 だいぶ落ち着きを取り戻してはいるようだが、涙はまだ止まっていなかった。


「でも、でも……あん、なに、あんなにがんばった、はるや、にいさんが、むくわれない、なんて、いや、です」

「そっか、ありがとな。そう言ってくれて嬉しいよ」

「はるや、にいさんとぶかつ、もっともっとした、かったです」

「……そうだな、俺もだ」

「わたし、はるやにいさんの、こと、すきです」

「…………そう……えっ?」


 なんだかすごい言葉が聞こえたような気がして思わず聞き返した。

 しまった、という顔をした千冬がブンブンと手を振る。


「あ、あの、ちがいます! 先輩として、尊敬できて、部長で、すごくて、その」

「あはは、わかってるわかってる。後輩の目から見てそんないい先輩に見えたなら……頑張った甲斐があったよ」

「にいさんは、すごいです。もっとじしんもってください」

「それは主にこっちのセリフだよ、千冬。……もうそろそろ次の試合だろ、涙止まったか?」

「えっ、あっ、そんなじかん……」

「行けそうか?」


 もう一度ずずっ、と鼻を啜る千冬。そして。


「……春也兄さん。その……涙、拭いてくれませんか」


 手に持ってるタオルをスッとこちらに渡してきた。


「わかった。ちょっと目瞑っててくれよな」

「ん……はい、ありがとうございます」


 タオルを受け取ると、だいぶ湿っていた。

 本当にたくさん泣いてくれたんだな、

 感謝と共に、期待に応えてあげられなくて申し訳ない気持ちになる。


「……拭くぞ」

「……はい」


 目を閉じた千冬の目元には未だ涙の粒がありありと残っていた。

 渡されたタオルを目の当たりにそっと当て、慎重に拭き取る。

 ゴシゴシと拭いてしまうと傷がついたり痛くなったりするかもしれないから、慎重に、優しく。


(しかし……)


 顔を赤くした美少女が、目を閉じて俺のなすがままにされている。


 いかん、なんだか意識し始めたら変な気持ちになってきた。

 従妹相手に、しかもこんな時に何考えてるんだ俺は。平常心平常心。

 ふう、と深く息をつく。

 千冬の顔をもう一度見ると、涙はおおよそ拭き取れていた。


「……よし、もういいぞ」

「すみません、春也兄さん……。試合が終わったばかりなのにこんなことをさせてしまい……」

「……いつもの千冬だな」

「え、その……す、すみません」

「謝ることじゃないさ。さて、そろそろ呼ばれそうだけど……準備やアップは大丈夫か?」

「あ、はい! 今から軽くアップしてきます。飲み物とか、色々ありがとうございました」

「気にすんな。全力出してこいよ、俺の分まで」

「はい! あ、その、最後に一個だけお願いがあるんですけど……」

「なんだ? なんでもいいぞ」

「あ、ありがとうございます……。それじゃあ……」


 もじもじとしていた千冬だが、はあ、と息を吐き出すと、いつもの凛とした表情に戻る。


「……がんばれ、って言ってくれませんか?」

「そんな事でいいのか?」

「はい」

「わかったよ。それじゃ……」


 ぽん、と軽く千冬の背中を叩く。

 力の代わりに、俺の悔しさとか、楽しさとか、今の気持ちを全部込めて。


「頑張れ!」

「はい! 行ってきます!」


 涙もすっかり晴れた千冬は、太陽のように笑顔をこちらに向けていた。


 これからは後輩たちの時代だな。

 そんな言葉が脳裏に浮かぶ、

 不思議とその言葉に寂しさはない。


 彼女たちになら全てを託せる。

 走っていく千冬の背中を見て、心の底からそう思った。


 ────無意識のうちに、これだけ想ってくれているなら、千冬が手紙の主なのかもしれない……なんて考えてしまっていた自分を、ひた隠しにしながら。

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