黒歴史ノートのこと

 みなさまにもあるでしょうか?

 思い出したいような、思い出したくないようなあの頃の記憶……。

 若さゆえにあふれ出る情熱とアイデアのもとに、書きなぐるようにして作った創作設定や小説の山、山、山……。

 いわゆる黒歴史ノートが。


 黒歴史ノート、私にはしっかりあります。

 なんならイラストつきです。

 ノートの表紙に当時のペンネームとともにマル秘とか書いてしまってます。やめて!

 本当の中学生時代からある、筋金入りの中二病的なアレです。


 私の場合、小説を書き始めたのは小学校高学年の頃。イラストを描き始めたのはそのもう少し前からでした。

 当時小説は手書きでルーズリーフに書いてバインダーノートに閉じていました。あるいはパソコンのWordか一太郎で書いてフロッピーディスクに保存していました。フロッピーディスク、今ではもう全くと言っていいほど見なくなりましたね。


 パソコンで書いたものは枚数が溜まるとコピー用紙に印刷していました。気に入ったフォントを気に入った色に変えて、ご満悦になったりして。

 タイトルつきの表紙も印刷してホッチキスで閉じます。

 自分で物語のキャラクタの設定資料のイラストも描いていたので、イラストをつけたら完成です。


 イラストの方もなかなかの熱意でした。

 普通のイラストの枚数が結構あることもさることながら、形式にも色々こだわりがあったようです。

 小説の設定画はもちろん、コンセプトアート風のものも描いていました。スクリーントーンやコピックを使って!

 キャラクタの立ち絵を切り抜いてラミネート加工したものや、トレーディングカード風のものが出てきた時は頭を抱えました。どこから湧いていたのだろう、その情熱は。


 そしてファンタジー世界ともなれば、当然のように自作の地図があります。

 コピー用紙を裏面でセロテープで繋ぎ合わせて、B5の用紙を四枚も使った大きな地図です。大作です。

 西洋の古地図に憧れていたらしく、端っこの方には船とかシーサーペントやクラーケンみたいなもののもちゃんと描き足してあるこだわりようです。

 色鉛筆でちゃんと彩色もしてありました。


 高校生になると通学時間が長くなってしまったことや、勉強が大変になったことで、いったん私の創作活動は途切れます。

 創作物たちもしばし、押し入れの中で眠りにつきました。


 そして大人になり、なんのご縁があったものか、私はまた創作を始めることにしました。

 そうすると時々、この黒歴史ノートたちのことも思い出すようになったのです。


 若かった私の熱い情熱の黒歴史ノートたちは、私とともに何度も引越しを乗り切っており、今もともにあります。

 もちろんなくしてしまったものや処分してしまったものもいくつかあるのですが、大半はなんとなく捨てられなくてそのままとってあるのです。

 日の目を浴びる機会は正直なところそんなにありません。

 それでもたまに見返しては悶絶してしまうのですが、やっぱり捨てられません。今ではとても考えられないような勢いや意気込みが、拙すぎる作品たちの中に確かにあるからです。


 ひたすら書きまくり、描きまくった時代。

 この頃の私は、今創作をしている私の基盤部分になっていると言えるでしょう。

 好きなことはやっぱりそうそう変わらないものですね。


 いつもの「好きなこと」を語るお話とはちょっと趣旨が違う気もするのですが、三つ子の魂百までみたいな方向のお話でした。

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