さくら咲く

 春を代表する花のひとつといえば?

 そうたずねた時、日本にお住まいの多くの人の頭には、この花のイメージが浮かぶのではないでしょうか。

 桜の花のことです。


 ひとくちに桜とは言っても、本当はさまざまな種類があります。

 ソメイヨシノ、オオシマザクラ、山桜に八重桜……。

 現在日本で見られる桜の種類はなんと500種類以上なのだそうです。

 よく桜並木として見かけられるソメイヨシノはきれいなものですが、春の山の中ぽつりぽつりと花ざかりを迎える山桜なども、なんとも言えない味があって私は好きです。

 種類を限らなければ、春は色々な桜を結構長い期間に渡って楽しむことができるのが嬉しいです。


 いちばん馴染み深いソメイヨシノは、薄紅色から白に近い花が木全体を覆うように咲いて、とてもきれいですね。

 満開の桜というのはやはり圧巻だと思います。

 そして散りかけて桜吹雪になっているのも、花びらが水に浮かんだ花筏はないかだも。その言葉の響きからしてもうきれいで。はかなさと美しさを同時に感じます。



 桜といえば、和歌にも有名なものがありますね。


 願はくは花の下にて春死なむその如月の望月のころ(西行法師)

 もろともにあはれと思へ山桜花よりほかに知る人もなし(前大僧正行尊)

 世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし(在原業平)


 昔から桜というものは、どうにも人の心を動かしてやまないものだったようです。

 見ていると美しさにそわそわしてしまうような。

 数ある花の中でも、桜には特に不思議な魅力があるような気がしてなりません。


 もうひとつ、桜にまつわるお話で忘れられないものがあります。

 むかし国語の教科書に載っていた随筆ずいひつのことです。

 詩人の大岡信おおおかまことさんの書かれた「言葉の力」という随筆で、染織家の志村ふくみさんとのやりとりのことを記された話でした。

 彼女の作った美しい桜色の着物。それは桜の皮から染め出した糸で作ったものだということ。そしてその色は桜の花が咲く直前の頃にしか出ない色だということ。

 教科書に載っているものなのでそれほど長い文ではなかったのですが、このエピソードは深く心に残っています。

 草木の持つ色というものは、生命力の爆発的な発露はつろなのかもしれないと思いました。



 さてさくら咲く季節の私はというと、今年もしっかりお花見に行ってきました。

 家の比較的近くにある公園が、なかなか桜のきれいなお花見スポットなので、お散歩がてらふらふらと。

 桜まつりで出店も出て、いつもよりずっと賑わった様子でした。

 あいにくの曇り空ではあったのですが、桜はほとんど満開に近く、見応えがありました。

 贅沢を言えば、青空に映える桜も見たかったな!


 そしてちゃんと自分らしく、花よりだんごもしてきました。歩いていると少し汗ばむくらいに暖かい日だったので、コーヒーフロートでひと息。

 家族連れやペットも一緒に賑わうお花見の空気を満喫です。


 今年もお花見ができた幸せ。

 来年もまた同じように、幸せな気分で桜を楽しみたいものです。


 近況ノートに今年の桜の画像、あります。

https://kakuyomu.jp/users/yuyuki3/news/16818093075138416627

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