色んな乗りもの

 乗り物が好きです。

 自転車、自動車はもちろん、電車や、飛行機、ロープウェイなんていうちょっと変わったものまで。

 今回はこの乗り物好きということに、ふと思いを馳せてみました。


 乗り物のことを考える時に頭にのぼるのは、そこから見える景色のことです。

 正確には自分の足で歩いている時以外に見える風景です。

 すごいスピードの中で、とか、はるか高みから見渡したり、とか、普段見えない角度から見えたり、とか。

 そんな風景は当然ながら、いつもとまったく違っていて面白いのです。

 私は、その大きな違いを楽しむのが好きな者のひとりです。


 そして乗り物にまつわる景色がいろいろあるように、そのひとつひとつに記憶も結びついています。

 自転車通学だった高校時代、通り雨に降られてずぶ濡れになった制服の匂い。

 おっかなびっくり乗ったスキーのロープウェイやリフト。

 月夜のしんと静まり返った野原をひとりで運転した時の、なんとも言えない感覚。

 モノレールの中を吹いていく風。

 新幹線でご満悦で食べた駅弁の味。

 飛行機で初めて雲の上に出たのを見た時の感激。


 幼い頃に眺めていた車窓から始まり、たくさんの記憶がまぶたに、五感に焼き付いています。

 もちろん嫌な記憶もありますが、良い記憶の方が圧倒的に多いです。

 この記憶がまた、乗り物のことを好きにさせてくれるのだろうなと思います。


 ですから最近では、乗り物に乗る時、単に移動手段としてのみではなく、乗る楽しみも見出しているように感じます。

 今日もバスの窓外を見ながら、そんなことを考えるのでした。


 悲しいのは近年、乗り物酔いが酷くなってしまったことでしょうか。

 長距離の移動は効果てきめん。すっかりやられてしまいます。

 ぐう、むねん。

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