お茶漬けでひと息

 さらさら、お茶漬け。

 簡単な具にお茶をかけたものか、あるいは某社のお茶漬けのもと。それか、もういっそお湯をかけて湯漬けでも良いことも。

 これにお新香なんてあると最高です。

 さらさら、かきこむ快さ。

 あのさっぱりした味が無性に恋しくなる時、ありませんか。私にはあるのです。


 寒すぎても、暑すぎても疲れがたまります。

 寒い冬の帰り道に芯まで冷えてしまった時。暑い夏で食欲もわかなくなってしまった時。

 そんな時、にわかに胃袋の方がお茶漬けの出動要請をすることがあります。


 閃きは決断的です。

 そうなるともう、口は完全にお茶漬けの口になっているのです。

 家に帰り着くともう、お茶漬け、その一念でもってお湯をわかしはじめます。

 お湯がわくやいなや、颯爽とお茶漬けを作り出し、ふうふう言って大汗をかきながら、さらりさらりとかきこむのです。最後まで飲み干して、おなかがくちくなる頃には、ああ、ひと息ついた。まさにそんな心持ちになります。


 具は何が良いでしょうか。

 梅茶漬け。鮭茶漬け。海苔茶漬け。など、など……。どれも捨てがたいです。渋いのではわさび茶漬け、ご馳走なら鯛茶漬けなんかの贅沢なものにも憧れます。いつか食べた焼きおにぎりのだし茶漬けも美味しかった。

 アラレは入っているほうが歯ごたえが楽しくていいかもしれません。ゴマをふっても良い。

 刻み海苔はたっぷり使いたい。小ねぎを散らしたっておいしい。

 選び放題のトッピングがまた、心を楽しくさせてくれます。


 お茶漬けのルーツとなる、水飯や湯漬けは、平安のころにはすでに文献などに登場していたそうです。それでダイエットを試みる人の話も載っていたそうで、やっぱりさっぱりした食べ物という認識は当時からあったようです。

 お茶漬け自体は、江戸の中頃には食べられるようになったのだとか。簡単な食事をだす「茶漬屋」が出来て、お茶漬けを名物にしてもいたそうです。

 古いような新しいような、不思議な歴史ですね。


 そんなことをしゃべっていたら、またお茶漬けの口になってきました。

 お茶漬けでひと息、しませんか。

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