第2話 明るい女達

シガレット……。殺し屋を捕まえる為なら殺しても構わない。暗殺能力の高い女子3人組。もしかしたら怖い人達が集まってるのかな……。まず、私に人を殺せるのか不安だった。あの時は復讐のため。無意識に引き金を引いてしまったが、これから意図的に殺していかないといけないかもしれない。抵抗感がある中、シガレットの部屋に着いた。警察署の地下1階に存在する隠れた組織。扉の前に到着した。扉の向こうから声が聞こえてきた。


「葵、私の冷蔵庫に入れておいたプリン食べた?」


「食べたよ。美味しかったなあ」


「許さない……。殺してやる!!」


「2人とも止めろよ。喧嘩は良くないよ」


「喧嘩じゃないよ!!仕返しだよ!!」


私の足は後ろに2歩下がった。やっぱり怖そうだ。でも、勇気を出して、扉を開けた。


「すいません」


3人が私の方を見た。


「私は、トップクラスから転属した大野莉音です」


「君が転属された人か。顔、可愛いね」


急に褒められて顔が赤くなる。


「みんな、自己紹介しようよ。まず、私がシガレット社長の水田葵19歳。好きなスイーツは、ショートケーキ。よろしくね!!」


19歳!?私より年下がいるなんて……。私の年齢は、25歳。大学を卒業して、警察に入った。警察署の中では若い方だった。顔も可愛いし、ショートケーキが好き。こんな人が人を殺すとは考えられない。


「私は、諸星七海25歳。さっき、葵が私のプリンを勝手に食べたの……。許せないわ。好きなスイーツは、プリン。特にチーズプリンが好きなの。よろしくね。それより、葵、さっきのプリン後で返してよ!!」


「分かったよ……。プリンを勝手に食べただけでそんなに怒るかよ」


「私にとってプリンは命なの!!プリンが無いと私は生きていけない」


「じゃあ死ね」


「葵こそ先に死ねよ。じゃあ殺し合いするか?」


「どうせ、お前は人を殺せない癖に……」


「黙れ」


「喧嘩は止めようよ。どれだけ喧嘩をしたら気がすむの?新しく入った人も居るんだから」


その2人を止めに入った1人の女。その女はどこかで見た事があった。


「私は、天野陽菜25歳。いつも2人の面倒を見てるの好きなスイーツはチョコレートケーキ。よろしくね」


天野陽菜……。記憶の倉庫に眠るカセットが再生し始めた。


「陽菜、私の事覚えてる?」


陽菜は私の顔をじっと見始めた。そして、驚いたような顔をした。


「莉音か。久しぶりだね」


私達は抱き合った。陽菜とこんな所で会えるなんて思っても見なかった。


「2人とも知り合いなの?」


葵さんが陽菜に声をかけた。


「高校の同級生なの」


「凄い。運命的な出会いだね」


でも、ここはシガレット。陽菜も人を殺すと考えると怖くなってきた。


「陽菜はどうしてここに来たの?」


「私は七海からの推薦でここに来たの。元々、バスケ部で運動神経は良かったから!!」


「そうなんだ……」


「じゃあ、莉音ちゃんの歓迎パーティをしようよ」


葵が立ち上がり、冷蔵庫にあったショートケーキを4人分、取り出した。そのショートケーキを机の上に置き、みんなに分け始めた。


「七海、これで勘弁してよ」


「まあショートケーキも好きだから許してあげる」


席に座り、ジュースをコップに注いでくれた。


「さあ乾杯だ!!」


葵さんが言うと、乾杯をした。思ったより明るい人ばかりで良かった。初めはもっと怖い人たちだと思っていたけど。でも、私はこの時、まだ知らなかった。彼女達の裏の顔を……。

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