第7話 俺たちは、4人だ

ー県議会議事堂ー



よーしこっから降りて、裏から入りますか..

まぁ、緊急事態だから許してね。


俺たちは、後ろの関係者用のカードでかざして開くドアの前に着く。


薫「瀬奈、これで良いんだよな」手にはカードを握っている。

瀬奈「そ、それで開く」

自信満々に答えた。


俺は、そっとカードをかざす。

少しするとウィーンと音が鳴り、ドアが開く。


薫「さすが、瀬奈だな」

瀬奈は、恥ずかしそうにハニカミ うなづく。


水希「…」




そして、中に入る。



やっぱ議事堂は広いな。




頭に叩き込んだマップを思い浮かべ、純がおそらく捕まっているであろう場所へと向かう。





周りを見ると誰もいないが…





奥に進むと話し声が聞こえる。

この部屋から瀬奈いわく純の発信機からの信号をキャッチしたみたいだが..




瀬奈と水希は、廊下の両端に行き、誰かが来ないかを見張る。

さすがプロ。




俺は、ドアに耳を当てる。




女の声「ふぅー、あの男どうします?」タバコを吸ってるのだろうか。


男の声「まぁ、面倒だから処理しますか…」


女の声「それは勝手にどうぞなんですが 葉っぱの引き渡し場所は変えなきゃですよね?」


男の声「えぇ」


女の声「であれば次をどこにするか...もう決めてらっしゃるんですか?」


男の声「彼のあのかたに相談するのが先ですので…どこが良いとか聞いていませんか?」


女の声「いえ、なんとも…それよりも今までの麻薬ルートも変えなきゃ行けないのでは?今まではどこでしたか?」


男の声「ん?知らないんですか?あなたが?」


女の声「実は、やりとりをしているのは私ではないんです 下っ端に任せているんで…」


男の声「…そうですか..」





何か布が擦れる音がする。

ガッシャ!と音がする。



女の声「どうしたんですか!?急にチャカ出して」男が拳銃を出したというのか..


男の声「お前誰だ!? 秘書じゃねぇな!」


女の声「バレちゃいましたか..」


その声とともに ドガッ と聞こえる。

サイレンサーのプスとした音も聞こえたが...






やばい現場に居合わせたな…

ここは逃げなければと思い、瀬奈と水希がいた方を見るが誰もいない。






薫「おい、嘘だろ… まさか、俺が計画していたものがこんなにも早く崩れるのかよ..」




後ろからドアを開ける音と同時に中へひきづり込まれる。






薫「うっ、っ っ!」




誰かに口を押さえつけられている。






やばい、瀬奈!水希!逃げろ!





すると、俺の口からその手が離れる。





俺はそれを見逃さず、咄嗟に後ろを振り返り、ポケットに入れてあった拳銃を取り出す。




前には、黒髪ロングの長身の女が立っている。

こいつ県庁にいた時のあの秘書か..



さっき喋っていたであろう男は、床に寝転がっていて寝ている。



薫「お、お前がやったのか?」

女「? あぁ、それね 気づかれちゃったから眠ってもらってるだけ 今はね」



女「それよりも後ろを見たら?」



俺は、その女が言う方向を見る。と同時に大きな音が鳴り、目の前が真っ暗になる。







..




俺は、痛い鈍痛から目が覚める。


薫「い..いてぇ」


俺は、咄嗟に頭を押さえる。


あれ?俺何してんだ…そうだ!あいつらは?





前を見るとあの部屋だった。

周りを見ると誰もいない。





薫「…作戦が..これはプランβに移行するしかなさそうだな」


俺はそう言ってドアを開ける。










その時、

??「はーい、ブー 不正解です!」




と陽気な聞き慣れたふざけた感じの声が後ろから聞こえる。


誰もいなかったはずだが..


そう思い後ろを見ると..


メガネっ子とショートカット女と長髪の男が立っていた。





薫「お前ら、いつの間に…それより..よかった..」

心から安堵した。体が脱力する。





水希「私たちが失敗するとでも?」


薫「いや、そうは思ってねぇけど…万が一にもそう言うことがあったらだな..てか、純いつの間に合流してたんだよ!」


純「さっきから合流してたけど?」

薫「は?」



純「この長髪に覚えはねぇか?」そう思い、じっくりと髪を見る。



薫「おい、まさかだよな?」


純「そのまさか、だよ これ伸ばすのに苦労したんだぜ カツラでもよかったんだけど 水希がバレるから地毛で伸ばせって しつこくてさ」


水希「ははは だって、可愛いじゃん」


瀬奈「伸ばすのほんと大変だったんだよね..元々長めだったから良かったものの..」



は?

何をさっきから言ってるんだ?

伸ばす?

依頼は昨日あったんだぞ?




水希「あぁ、忘れてた 薫、純はね 変装の達人なの で、今回は、秘書になりきってもらいたくてね 1ヶ月前から仕込んでたのよ」


薫「おい待て、1ヶ月前って まだ、千花が依頼してねぇぞ」


水希「あんたねぇ、依頼なんて営業しなきゃ 来ないのよ そのために事前に調査して 依頼が来るように千花さんのお母様の周りから依頼がKTDでできることを知らせてだの..色々と大変なのよ」



嘘だろ..何も知らなかった 

こいつらがそんな前からやっていたことを。




薫「おい、てことは、あのサイレン…もしかして事前になることが決まってたのか?」


水希「あちゃー、バレちゃいましたか..」


純「悪い、今日の昼に俺が発するサイレン音で今回の作戦の決行合図だったんだ」


薫「…もしかして、俺の能力を測るためか?」


瀬奈「ごめん、実はそうなの…」


どこまで、考えてるんだこいつらは..




水希「最後のドアから出ていくのは減点2だったけど、あんたの作戦は私たち3人で考えたものよりも上をいってた そこは評価してあげる」




瀬奈「さっきまで、純に「ねぇねぇ、薫ってすごいんだよ ここの場所もわかってさ!作戦も凄くてさ!」って喜んでたくせに」


そう言って笑った表情で水希に問いかける。



水希「うっ、うるさい!瀬奈だってカッコ良かったーって言ってたくせに!」



と言って二人が口論し出す。



純「まぁ、そう言うことだ お前の判断力・観察力は大したものだ で、本題に入るとだな 麻薬の取引現場はなんとな 県庁でやっているらしい..」


薫「県庁…」


水希「やらなそうな所でやるのが一番バレづらいんだよ しかも30分後の8階だってよ さっきいたブローカーから聞き出したんだよ まぁ、顔が割れないように純があの格好で吐かせたんだけど..」


薫「8階..」


瀬奈「千花さんのところに行かなきゃだね やっぱり、薫の睨んでたとおりね」




ここからは、慎重に行かなきゃいけねぇな。深呼吸をする。



水希「ここまでで、本当に新人の指導は終わりね こっからがKTDの本番ね」


瀬奈「おふざけモードをOFFにして、やってこっか」

さっきまでおふざけモードONだったのかよ。


純「まぁ、大変な作業にはなりそうだが..薫 麻酔銃持ってるか?」


薫「あぁ」俺は、ポケットに入っている銃を取り出す。サイレンサーが一応ついている。


純「オッケー、じゃあ行きますか!」


俺たちは、県庁8階へと向かう。

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