第3話 初出勤

ー月曜日ー


俺は、7:30に出社して、会社に辞表提出した。


最近の俺の様子を見てか。


お疲れ様と一声かけられた。



そんなに俺やばかったのか。


引き継ぎは、最後の2日でいいとのことだった。


よし、9時には間に合うな。





ー事務所ー


俺は事務所に車を停め、中へ入る。



ぱーん!



音が響いたと共に煙臭い匂いがし、俺の頭にクラッカーの中身が頭に乗る。


おい、今、誰か俺の股間狙っただろ!!


アイツだろうけど。




水希「おめでとう、早期退職の若者よ!!」

純「おめでとう、ラブコメ鈍感主人公!」

瀬奈「おめでとう、意気地なし!」


なんか、おめでとうの後にすげぇ、嫌なこと言われてるんだが..


薫「あぁ、ありがと? えっと、服装なんだけど..」


3人とも半袖の白シャツに黒のスラックスで統一していた。


俺は..


水希「ねぇ、なんで私服なの?舐めてんの?てか、遅刻なんだけど?」


くそ、わざわざ家に帰って、私服に着替えて来たのが裏目に出たか…ん?


薫「遅刻って何だ?」


水希「私たちの出勤は、8時半なのよ!」


薫「はぁ?お前らが9時っていうから9時に...」そこで気づく、張り紙がデカデカと書いてあることに、


張り紙には、「8時半厳守!遅刻したら、恥ずかしい話を言う」と書かれていた。


薫「おまえら..揃いも揃って俺をはめたな..」


純「違う違う、薫の洞察力を測ろうとしたんだけど...こんな結果になるとは..悲しいよ」純は、わざとらしくハンカチを目元に当てる。


あの時は、恥ずかしいポーズしてたし、疲れたからしょうがなくない?


瀬奈「で、恥ずかしい話を言ってもらうんだけど?」


マジで言うのかよ…えっと


薫「高校の頃、実は...ラブレターもらって屋上に呼ばれたから行ったんだけど、3時間待ってたんだけど誰も来ませんでした…な?恥ずいだろ..」


瀬奈「は!?誰から!!?」


薫「いや、誰かは書いてなかったんだけど..」


瀬奈「誰だ...」怖い顔で俺を睨んでいた。


水希「...せーな、何そんなに薫の事好きだった女子のこと知りたいの?」


瀬奈「ちっ違う!! 誰が薫なんかを好きになる物好きいたのかなーって」


薫「まぁ、そうだよな..なんで俺3時間も待ってたんだろ…」


瀬奈「あっ、いや、ちがっ…」


水希「まぁ、まぁ落ち着きなさい」そう言って、瀬奈の頭を胸に押し付けて撫でる。


瀬奈「くるし、、っ」


純「おい、瀬奈が苦しがってるぞ!」


水希「あっごめん、気づかなかった!!」


瀬奈「はぁはぁ、は、その凶器をしまいなさい!破廉恥!」


水希「ごめんね、その破廉恥な武器が瀬奈ちゃんには無いからね 悔しがる気持ちもわかるよ ほら、ハンカチ」


瀬奈「わかんないでしょ!!」


こいつら、女同士の面倒臭い争いを時々するんだよな。


純「まぁ、まぁ落ち着いて では、今回の依頼内容を整理しよう」


そういうと、キリッと切り替える。

何なんだ、こいつら

さっきまでのが演技かと思うくらいに切り替えが早い


瀬奈「依頼主は、如月 佳奈(きさらぎ かな) 対象は、娘の千花(ちか) 目的は、対象の動向の把握と犯罪があればそれの事前阻止」


水希「それに付け加えて、この素人の育成もしなきゃね 担当は、私でいいかな?」


瀬奈「まぁ、水希が適役でしょうね お願いね」


純「今日やるべき課題としては、県庁において産業支援課に配属している千花さんの確認と不審な動きがないかの調査だね」


瀬奈「..今日は、私はすることなさそうね..」


水希「じゃあ、お留守番で、私と純と新人で行きますか」


純「いや、俺も別に調査しなきゃいけないことがあってな そっちに向かう」


水希「了解」


瀬奈「私も金曜日の依頼主と成果報酬の件を進めておくわ」


なんだ、こいつら 

すげぇんだけど


完璧に組織の動きをしてる。


純「薫は、なにか聞いておきたいことあるか?」


薫「…いや、特にないがどうやって潜入するんだ?」


純「まぁ、それについては、水希が教えるから..」


水希「大船に乗った気分で任せなさい えっへん!」腰に手を当てている。


純「じゃあ、行きますか!」純は、速攻で下に降り、車の方へ向かった。


瀬奈も何やらパソコンの方へと向かう。


水希「新人くん、先輩に運転させるつもり?」


薫「あっごめん」

もう主従関係ができてしまった。




俺は、下に行き、組織用の黒の普通車のエンジンをかける。


水希「ありがと、じゃあ、ナビをつけるから県庁に向かってね」


薫「おけ」俺はドライブに切り替え、車を走らせる。


水希「今日は有給を使って休んだってとこ?」


薫「そだよ」


水希「ふーん、有給溜まってたんだ..」


薫「有給を申請するときに色々言われるのが面倒だったからね それに仕事以外にやることなかったし」


水希「今回の対象は、あんたと同じ悩みを抱えているかもね もしかしたらそれ以上かもしれないけど…」


薫「...そうだとしたら危ないかもな 俺も今日会社に行って自分が危ないことに気づけたから..」


水希「そう、周りの人が言ってくれなきゃ、気づけないんだよね こう言うのは…


くそっ!!!」そう言って、自分の太ももに拳を叩きつける。




薫「...俺の好きな太ももをあんまイジメんなよ」


水希「へぇー、薫ってそんなユーモアを使いつつ、気遣えるんだ」


薫「社会人だったら、当然だ」


水希「そ」水希は、窓の外を見る。


何かを思い出し、悲しげな顔をしていた。

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