エピローグ

闇に沈み

 己のばぬ限り

 闇より術は無


 されど


 其のめつくり部屋現れし時

 9人のユメ者と共力を合わせ

 心のみし者を救い出す


 我 これを Dream Rescue Team と名付ける』



 手元のノートに愛読書から一節を書き写し、掠れて読み取る事のできなかった文字を、自分なりに考えて書き足す。

 そのノートを満足げな顔で眺めながら、少年は呟いた。


「なるほど、ね。そういうことだったんだ」


 少年の師匠も、そのまた師匠ですら出会った事が無いと言っていた【Dream Rescue Team】。

 目の当たりにするどころか、その一員となって『ナナ』を心の闇から救い出した事が、まるで昨日のことのように思い出される。


(元気かな、ユメミ。まぁ、ユメミなら、元気でいてくれるよね)


 ノートをタキシードのポケットにしまうと、少年は目を閉じて周囲へとアンテナを張り巡らす。


「ん?なんかおかしいな、あの子の夢。さぁてと、仕事に戻りますか」


 誰にともなくそう呟くと、少年は持ち場へと向かうべく、その場から姿を消した。


【完】

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