第44話 日本を含むG7各国の政府が情報統制をする共通の目的が見えてくる(2)
日本が議長国を務めたG7広島サミット(2023年5月19〜21日)に先立ち、長崎において開催されたG7保健大臣会議で採択された宣言を抜粋して紹介している途中だが、日本政府がワクチン被害を報道させない、健康保険証を拙速にデジタルマイナカードに統合させるといった行政の問題とG7会議の関係が明確に見える。
**************************
28. (略)我々は、UHC2030 による「UHC アクションアジェンダ」を支持し、UHC を推進するためのこれらの重要な要素を示し、各国におけるより持続可能な UHC の達成に貢献するために G7 にどのような行動が求められるかを記述した「G7 UHC グローバルプラン」を附属文書として公表する(略)。 我々は(略)、UHC に関する財政、知見の管理、人材に係るグローバルなハブ機能の重要性を指摘する。
30. 我々は、ポスト・コロナ時代に向けて、保健システムの強化やPHCの推進を含むUHCの達成を視野に(略)、UHCと健康安全保障を維持するために必要な、革新的な資金調達、追加国からの更なる資金拠出、国内資金動員を求める。加えて、開発銀行等と民間セクターが、持続可能な資金調達への貢献を通じて果たし得る役割についても強調する。
31. (略)我々は、WHO、世界銀行、Gavi、Unitaid、グローバルファンド、グローバル・ファイナンシング・ファシリティ、パンデミック基金とい ったステークホルダーとともに、より効果的なグローバルヘルスのパートナーシップに貢献する決 意を表明する。
我々は、グローバルファンドの第七次増資の歴史的な結果 に留意し、HIV/AIDS、結核、マラリアの蔓延を終わらせるための G7及びさらな る国々からの資金援助を歓迎する。我々は、UHC2030、Global Action Plan for Healthy Lives and Well-being for All (SDG3 GAP)といった既存のイニシア ティブに対する政治的、技術的、財政的支援を強化することにコミットする。 我々はまた、UHC2030 による、保健システムに関する情報のデータセットの提供 と可視化を行う UHC データポータルの活動についても歓迎する。
34. 我々は(略)、高齢化の課題に対処するためには、(略)すべての 人の健康寿命を延伸するために何が有効かを特定し、長期疾患や障害の予防、診断、治療など、高齢化に直面し始めた国々へ我々の知見を共有していく。
35. 我々は、包括的な性と生殖に関する保健サービスへの普遍的なアクセスを、すべての人のために確保することにコミットする。これは(略)、ヒトパピローマウイルス (HPV)ワクチン接種を含むがんの予防と管理に関する取組といった、すべての人のための包括的な SRHR を推進するアプロー チを包含する。我々はSRHR を推進するため、PHCレベルの UHC に、包括的な性と生殖に関する健康のサービスが含 まれるよう提唱していく。
36. 我々は、予防可能な妊産婦・新生児・子どもの死亡 をなくすための母子保健に関するムスコカ・イニシアティブを支持し、関連基金への拠出を通じて支援する。コロナ、紛争、気候変動といった課題を踏まえ、 我々は、予防可能な妊産婦、新生児及び子どもの死亡率(略)の指標に 関するターゲットを含む SDGs の目標2,35及び6の達成を加速することを約束する。
37. (略)我々は、(略)SDGs とすべ ての人のための UHC 達成を支援するために(略)他の国や、WHO、国連食糧農業機関 (FAO)、国連環境計画(UNEP)、国際獣疫事務局(WOAH)で構成される4機関(Quadripartite)と協力し、化学物質や廃棄物の地球規模の健全な管理食糧システ ム、WASH といった様々な分野との広いつながりを認識し、この課題に取り 組んでいく。
38. パンデミック PPR の能力を開発し、公衆衛生危機に対応するための GHA を強化し、 UHC を達成するためには、デジタルヘルスを含む革新的な取組が必要である。(略)安全で有効かつ入手 可能な価格の MCM の研究開発に係る国際協力、デジタル技術の活用による公平な アクセスと効率的な流通の仕組み、効果的なエビデンスに基づく政策立案(EBPM) といったヘルス・イノベーションをどのように推進できるか、その可能性を探る。
40. 我々は、新製品の安全性、有効性、 品質を確保しつつ、「G7 治療薬とワクチンの臨床試験憲章」で示されたように、研究開発を強化する緊急的なニーズを再 確認する。我々は、病原体分離株、臨床サンプル、遺伝子配列データのグローバ ルな共有が重要であることを認識する。さらに、公衆 衛生危機に対応するために、薬事規制当局国際連携組織(ICMRA)、国際医療機器規制当局フォーラム(IMDRF)、医薬品規制調和国際会議(ICH)のガイドラインや提言といった既存の国際的枠組みを活用。
41. さらに、将来のパンデミックに備えて研究開発を進める一方で、関係者を効果的に調整した MCM エコシステムが重要である。したがって、我々は、関連する政府、多国間パートナー、WHO、世界銀行、ユニセフ、グローバ ルファンド、Gavi、GHIT Fund、CEPI、FIND、Unitaid、Medicines Patent Pool (MPP)といった製品開発のパートナーシップ、規制当局や BARDA、HERA、AMED といったヘルス・イノベーションに関連する機関、二国間・多国間の開発銀行や イニシアティブ、市民社会、民間パートナーとの連携を含めて、包摂的なパートナーシップの触媒とする。G7 は、ワクチンやその他の医療製品のボランタリーライセンスのプロセスの強化について、(略)全てのステークホルダーの参加を奨励す る。
42. 加えて、ワクチンへの忌避感は、ワクチン接種率を上げるための大きな課題であり、医療従事者、市民社会組織、コミュニティも参画した上で、ヘルスリテラシ ーの向上や社会的・行動的変化の促進により、ワクチンに対する信頼を高めるよう全般的に取り組んでいく必要がある。WHOやそのガイドラインとうまく連携しながら、ワクチンに関するインフォデミックや誤情報に対抗することも、我々にとって優先すべき事項である。
43. (略)我々は、 AMR をはじめとして、コロナ、HIV/AIDS、結核、マラリアといった感染症に対処するために、抗菌薬の適正な使用、感染予防と管理、衛生環境の改善や保健指導といった非薬物的介入を含む、革新的な技術の開発及び実践に対する投資を支持する。特に、我々は、多剤耐性結核菌(MDR-TB)及び超多剤耐性結核菌 (XDR-TB)が国際的な健康と経済面への負のインパクトを与えることを認識し、特に脆弱なハイリスク集団における疾患に対する認識を高め、早期診断のための新しいスクリーニング検査の開発を加速し、新しい治療を開発する重要性に留意している。
44. AMR は、サイレント・パンデミックとも呼ばれ、有効な抗菌薬治療の喪失により、世界の公衆衛生、経済システムにも大きな影響を与えている。(略)このため、我々は、(略)AMR に関するアジア太平洋ワンヘルス・イ ニシアチブ(ASPIRE)や大西洋横断抗菌薬耐性タスクフォース(TATFAR)のようなセクターを超えた連携を強化し、グローバル薬剤耐性サーベイランスシステム (GLASS)やグローバル AMR 研究開発ハブ等の国際イニシアティブへの支援を通 じて国際協力に貢献し、AMR に継続して取り組むことを約束する。(略)
46. 高齢化、特に認知症への対策においても、(略)製造者が、有効な新しい治療法をできるだけ早く世界市場に持ち込むよう努めることを奨励す る。
47. (略)我々は、(略)医療、介護、健康診断、予防接種、薬剤といった人々の健康に関するデータを適切に活用するための取組を行っている。これらのデータを最大限に活用することは、(略)国がすべての人により効果的な医療・ケアシステムを提供することにも資するものである。電子カルテや相互運用可能なデータ標準の使用により、電子医療情報へのアクセス、情報交換を促進することが可能となる。(略)
48. 我々は、将来のパンデミックに対(略)して、信頼できるグローバルなデジタルヘルス・ネットワークの構築と、相互運用を促進するデータの近代化の取組に関して、国際協力が重要であると認識している。我々は、保健システムにおけるデジタル技術をさらに推進し、より良い政策の先進事例を世界に示すことにコミットする。この意味で、我々は、健康に関するデータへのアクセスに基づくデータ・ガバナンスに関する共通のビジョンと、国、地域、世界レベルでの行動計画の策定を目指す。
49. コロナパンデミックを踏まえ(略)、我々は、気候変動、汚染や環境悪化、生物多様性の損失に起因 する将来の健康危機のリスクを軽減し、人獣共通感染症の波及や流出、パンデミ ック病原体や新規株の予防と早期検出を促進する必要性を強調する。(略)我々はこのため、2023 年の後半に、すべての関係する省庁の参加を得て、必要な方策及び協働について議論を行う予定であ る。また、我々は、PREZODE(Preventing Zoonotic Disease Emergence)や ZODIAC(the ZOonotic Disease Integrated ACtion)といった人獣共通感染症の出現を予防することを目的とした国際的なイニシアティブならびにワ ンヘルス・ハイレベル専門家パネルとワンヘルス・アプローチの定義も歓迎する。
***********************
G7保健大臣会議宣言には
「WHOと連携しながら、ワクチンに関するインフォデミックや誤情報に対抗する」
「HPVワクチン接種を含むがんの予防」
「将来のパンデミックに備えて、関連する政府、WHO、グローバ ルファンド、Unitaid等の製品開発のパートナーシップ、規制当局や BARDA、AMED 等の機関、市民社会、民間パートナーとの連携、ワクチンその他の医療製品の全てのステークホルダーの参加」
「将来のパンデミックに対してグローバルなデジタルヘルス・ネットワークの構築と相互運用を促進するデータの近代化の取組に関して国際協力が重要」
といった現在の日本政府の対策に重なる表現が多く記載されている。
日本を含むG7各国の政府が情報統制をする共通の目的が見えてきたのではないか
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます