第31話 アフターコロナを利用した世界経済フォーラムの野望

世界経済フォーラム(WEF)がかかげる2030年までの目標


1. 人々は何も所有しない。物品は無料であるか、あるいは国から貸与されなければならない。

(→ベーシックインカム)


2. アメリカはもはや主要な超大国ではなく、少数の国が支配するだろう。

(→すでに中国が世界1位になることはIMFも予測、覇権の多極化)


3. 臓器は移植されずに印刷される。

(→3Dプリンター?)


4. 肉の消費は最小限にまで抑制される。

(→ヴィーガンや菜食、昆虫食までがサステナブルとして喧伝されている)


5. 人々の大規模な移動により、数十億人の難民が発生する。

(→戦争、あるいは大規模災害を計画?)


6. 二酸化炭素排出を制限するために、価格は世界的に法外なレベルに設定される。

(→気候変動対策として、化石燃料は完全に悪者にされている)


7. 人類は火星に行き、エイリアンの生命を見つけるための旅を始める準備をすることができる。

(→2022年、火星に大量の水が見つかった)


8. 西側世界の価値は限界点までテストされるだろう。

(→民主主義より全体主義国家が優れているという刷り込み)


これらの目標のうち、最も社会に大きな影響を与えるものは1. の「 2030年までに私有財産を廃止する」だろう。WEFは私有財産を認めない共産主義にも近い社会を理想像としてかかげていることがうかがわれる。


WEFは「2020年の新興テクノロジートップ10」として、世界を変えるインパクトを持つ技術を発表している。


1. 痛みのない注射と検査を可能にするマイクロニードル

2. 太陽エネルギーを利用した化学

3. バーチャルペイシェント (シミュレーション上の患者)

4. 空間コンピューティング

5. デジタル医療

6. 電動航空機

7. 低炭素セメント

8. 量子センシング(人間の脳の動きを含めて多くをモニタリングできる感知技術)

9. グリーン水素

10. 全ゲノム合成


研究開発が進められている技術として、ワクチン接種などには1. のマイクロニードルが応用できそうだし、10. のゲノム合成などは、コロナウィルスの研究を2000年代前半から行ってきたバリック博士などが進めている研究にも近い。


また、5. のデジタル医療と、8.の量子センシングをマッチングさせれば、人間の体内の状態をデジタルデバイスでスキャンするなどの組み合わせも可能になる。


そして、量子センシングで人が考えていることさえもモニタリング可能となってしまえば、プライバシーも何もなくなってしまう懸念も感じる。


2016年にシュワブ会長は、マイクロチップを最初は服に埋め込み、次は脳と皮膚に埋め込む可能性について語った。


私有財産とプライバシーをも超える全体利益


・新しい全体主義サービス経済では、政府が基本的な宿泊施設、食事、交通手段を提供し、残りは国から貸与されなければならない。


市民は交通機関、宿泊施設、食べ物など日常で必要なものが無料になるため、財産を多く持つことは意味がないことになる。家の個人所有権も廃止されるため、家賃を払うことも無くなる。


・すべての個人的な動きは電子的に追跡され、すべての生産はクリーンエネルギーと持続可能な環境の要件の対象となる。


・天然資源の使用は最小限に抑えられる。いくつかの主要国と協力して、グローバル機関は CO 2 排出の価格を非常に高いレベルに設定し、その使用を阻害する。


「持続可能な農業」を実現するために、食糧供給は主に菜食となる。


肉や乳製品の代わりに、植物ベースの代替品が提供されるようになる。そのため、動物飼料を生産するための土地は大幅に減って、世界中に自然が戻ってくる。

このような理想の世界を実現するために、人々を導く手法は次のようなものだ。


・大衆を誘惑するための餌は、包括的なヘルスケアの保証と、保証された基本収入だ。


・グレートリセットのプロモーターは、病気のない世界を約束する。生物工学的に作られた臓器と個別化された遺伝学に基づく医療により、平均余命が大幅に伸びる可能性があると言われている。


・「ベーシックインカム」の約束は、特に新しいデジタル経済で仕事を見つけることができなくなった人々にとって非常に魅力的だ。これは、貧困層の人々の支持を得るための餌として使われる。


・ベーシックインカムの保証は賃金格差の平準化を必要とするだろう。国からの送金の技術的手続きは、キャッシュレス社会を促進するために使用される。


・すべての金銭取引のデジタル化により、個々人の購入履歴が登録される。結果として、政府当局は、個人がどのようにお金を使うかを詳細に監督するための無制限のアクセス権を持つことになる。


・キャッシュレス社会におけるベーシックインカムは、社会信用システムを課し、望ましくない行動を制裁し、不必要で望ましくないものを特定するメカニズムを提供するための条件を与える。


最近、日本でも竹中平蔵氏が主張し始めた国民への7万円の「ベーシックインカム」配布や、ワクチン接種や銀行口座をマイナンバーカードに紐付けようという提案は、まさにこの流れに沿ったものと言えるのではないか。


WEF創設者で「グレート・リセット」構想の発起人であるシュワブ氏は、この計画がコロナ禍に陥った世界を救い、より良い世界を作ると主張しているが、このWEFの構想について大きな問題だと思うのは、この理想の世界(新世界秩序)へ人類を導いていく意思決定者はいったい誰なのか?という点だ。


WEFや少数の政府・国際組織・グローバル企業が、一般市民の知らないところで財産やプライバシーの廃止を計画しているというのは、民主主義社会の理念から恐ろしく離れた行為ではないか。


個人の自由や幸福の追求という価値観を無視して、彼らが良しとする「人類にとっての全体利益」を実現するために、最新テクノロジーを一般市民を管理するツールとして使おうとしているようにも感じてしまう。


日本でも水面下でこうしたWEFの動きに同期した計画が進んでいる。

その名前を「ムーンショット計画」と言い、2020年コロナ禍で緊急事態宣言が出された5月に内閣府のホームページで公開されている。


ムーンショット目標


全ての目標は「人々の幸福」の実現を目指し、掲げられている。


1)社会:急進的イノベーションで少子高齢化時代を切り拓く[課題:少子高齢化、労働人口減少 等]

2)環境:地球環境を回復させながら都市文明を発展させる[課題:地球温暖化、海洋プラスチック、資源の枯渇、環境保全と食料生産の両立 等]

3)経済:サイエンスとテクノロジーでフロンティアを開拓する[課題:Society5.0実現のための計算需要増大、人類の活動領域拡大 等]


その計画の目標とされているのが、以下のようなものだ。


ムーンショット目標1

2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現


・複数の人が遠隔操作する多数のアバターとロボットを組み合わせることによって、大規模で複雑なタスクを実行するための技術を開発し、その運用等に必要な基盤を構築する。


この中で登場するアバターは「サイバネティック・アバター」と呼ばれ、人間の代わりになるロボットや3D映像等を示すアバターに加えて、人の身体的能力、認知能力及び知覚能力を拡張するICT技術やロボット技術を含むのだそうだ。


・サイバネティック・アバターの活用によってネットワークを介した国際的なコラボレーションを可能にするためのプラットフォームを開発し、様々な企業、組織及び個人が参加した新しいビジネスを実現する。


・空間と時間の制約を超えて、企業と労働者をつなぐ新しい産業を創出する。


・プラットフォームで収集された生活データに基づく新しい知識集約型産業やそれをベースとした新興企業を創出する。


・人の能力拡張技術とAIロボット技術の調和の取れた活用により、通信遅延等にも対応できる様々なサービス(宇宙空間での作業等)が創出される。


ムーンショット目標2

2050年までに、超早期に疾患の予測・予防をすることができる社会を実現


ムーンショット目標3

2050年までに、AIとロボットの共進化により、自ら学習・行動し人と共生するロボットを実現


ムーンショット目標4

2050年までに、地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現


ムーンショット目標5

2050年までに、未利用の生物機能等のフル活用により、地球規模でムリ・ムダのない持続的な食料供給産業を創出


・話題の昆虫食を含む「地球規模の食料問題の解決と人類の宇宙進出に向けた昆虫が支える循環型食料生産システムの開発」


・温暖化を促進するとされる牛のメタンガスに関する「牛ルーメンマイクロバイオーム完全制御によるメタン80%削減に向けた新たな家畜生産システムの実現」


ムーンショット目標6

2050年までに、経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現


ムーンショット目標7

2040年までに、主要な疾患を予防・克服し100歳まで健康不安なく人生を楽しむためのサステイナブルな医療・介護システムを実現


ムーンショット目標8

2050年までに、激甚化しつつある台風や豪雨を制御し極端風水害の脅威から解放された安全安心な社会を実現


ムーンショット目標9

2050年までに、こころの安らぎや活力を増大することで、精神的に豊かで躍動的な社会を実現


ムーンショット計画は、世界経済フォーラム(WEF)の「経済、政治、学究、その他の社会におけるリーダーたちが連携することにより、世界、地域、産業の課題を形成し、世界情勢の改善に取り組む」という目的に合致している。


しかし、WEFは人類共通の目標を提示して世界経済を動かし、その動きを先取りして巨大資本家が利益を蓄積し、WEFの追随者達と共に世界の人々を管理する。


WEFは巨大な資金力を使ってコロナ禍を拡大させ、関連企業を儲けさせ、WHOの権限を強化し、人類に甚大な被害を与えた。これは世界規模のチートだ。

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