第18話 mRNAワクチンの開発・製造・販売の実態(1)
ここから、mRNAワクチンに関するレポートを抜粋して解説する。
最初にmRNAの存在を指摘したのは、フランス人の生物学者ジャック・モノー氏とフランソワ・ジャコブ氏で、この2人は1965年にノーベル生理学医学賞を受賞。
その後、この研究を引き継いだアメリカの遺伝生物学者のマシュー・メルセン氏がmRNAの存在を実証し、DNAに書かれた情報がmRNAを介してタンパク質の合成に至るという分子レベルの仕組みが解析される。
さらにその後、ハンガリーの生化学者カタリン・カリコー博士がこの仕組みに注目し、mRNAがタンパク質を合成するという仕組みを利用すれば医療に貢献できると考え、ガン治療への適用を考えた。 元々はガン治療が目的だった。
彼女はペンシルベニア大学の助教授となりmRNAの研究に没頭したが、その研究はなかなか評価されず、研究費もしばしば削られた。
彼女は、HIVワクチン開発の研究をしていたドリュー・ワイスマン教授と知り合い、彼と共同で2005年にワクチン開発に関する研究成果を発表したが、これもほとんど注目されず、2010年にはmRNAの関連特許を大学が企業に売却してしまったため、彼女の研究は事実上、頓挫してしまう。
注目すべきは、その特許の権利を購入するために、アメリカの研究者グループが設立した会社の名前が「ModeRNA」、つまり「モデルナ社」だ。
2010年に設立されたモデルナ社に対して、アメリカ政府は、国防省傘下の「DARPA」(防衛先端技術研究計画局)を通して、2013年から資金援助していて、2016年にはビル&メリンダ・ゲイツ財団からも2,000万ドルの資金援助を受け、2018年にはナスダックに上場した。
そして、今回の新型コロナ騒動の際は、米国保健福祉省傘下の「BARDA」(生物医学先端研究開発局)を通して、9億5,500万ドルの補助金が出され、ワクチン完成後の2021/09/21時点ではその株価の時価総額は1,736億ドル(約19兆円)と跳ね上がる。
他にも特許の権利を購入した会社がドイツのバイオ企業の「バイオンテック社(ビオンテック社)」で、カリコー博士もドイツに招かれて、研究を続ける契約が結ばれる。
バイオンテック社は、元々免疫の力を利用してガン治療をする「免疫ガン治療」の研究開発をする会社だったが、彼女が参加した後はmRNAの医療への活用に力を入れるようになる。
そして、バイオンテック社は2019年9月にビル&メリンダ・ゲイツ財団から資金を集め、その後ナスダックに上場。
当初はエイズウイルスや結核の感染を予防するためのワクチンや免疫療法の開発を支援することを目的に5,500万ドルが投資されたが、出資額が1億ドルに引き上げられる可能性も示唆されていた。 この時期、新型コロナウイルスはまだ見つかっていない。
2019年10月18日には、ニューヨークで「"EVENT201" A GROBAL PANDEMIC EXERCISE」というイベントが開催された。
このイベントの主催は、ジョンズ・ホプキンズ大学 健康安全保障センターと世界経済フォーラムで、スポンサーはビル&メリンダ・ゲイツ財団。
このイベントは、高レベルのパンデミックに備え、対処するための対策会議というコンセプトが謳われており、その目的は厳しいパンデミックにおける大規模な経済的・社会的影響を最小限に食い止める方法を模索することとなっている。
EVENT201は、コウモリから豚、そして人間へと伝染し、やがて人間同士で感染が蔓延していく人畜共通の新型コロナウイルスのパンデミックのシミュレーションだ。
このウイルスによってもたらされる病原体と症状はSARSによく似ているが、軽度症状の感染者に起因する市中感染力はより強い。
ブラジルの養豚場から始まる感染はやがて低所得者が多く住む密集住環境で広がり、まず南米でエピデミックが発生し、それがあっという間にポルトガルからアメリカ、そして中国へと広がる。
媒体となるのは旅客機の乗客たち。 蔓延の初期段階では何とか抑え込みに成功する国家もあるだろうが、その後も感染者数が増え続け、最終的には蔓延を抑え込むことができる国家はなくなる。
蔓延最初の年におけるワクチンの開発は不可能で、抗ウイルス薬が開発されるという話もあるが、それだけで感染拡大を抑えるまでの実効性は期待できない。
蔓延の初期から感染者数と死者数は加速度的に増加し続ける中、社会的・経済的影響も大きく、厳しくなっていく。
このシナリオはパンデミック発生の18ヶ月後、死者数が6,500万人に達した時点で終わる。この頃になると、感染する可能性がある人口の絶対数が徐々に減少し、感染のスピードも落ち始める。
パンデミックは有効なワクチンが開発されるまで、あるいは世界人口の80~90パーセントが耐性を得るまで続くだろう。その後は小児性の風土病に変化すると思われる。
このようなことが公式サイトに記載されている。
このイベントは、新型コロナウイルスが発見されるより前に開催されたものだが、発生源がブラジルであることやパンデミック発生から18ヶ月後でまだ終息していないなどを除けば、現在の新型コロナウイルスの状況をかなり正確に予測できている。予測じゃなくて予告。
そして、このシミュレーションの委員会メンバー同士での協議の中で、誤った情報コミュニケーションが大きな混乱を招くと定義しており、個人間でのSNSを含めた情報発信、ソーシャルメディアでのデマを拡散するアカウントを停止する規制を行い国民の管理を行うことも協議されている。
他に製薬会社が意図的に蔓延させることでワクチンや薬で儲けていると非難を浴びて信用を落としたり、誤情報によってウイルスは製薬会社による人工的なものだと信じる人が出てくるので、国内と国際の両方に信頼の高いソースを確立して、そちらの情報へ誘導することが最も効果的だという話も。
実際に現在行われている情報統制そのままだ。
架空の新型コロナウイルスという設定でシミュレーションされたEVENT201の開催日は2019年10月18日だが、現実世界での新型コロナウイルスの1人目の感染者は2019年12月8日に中国の武漢で発見。
そして、翌年2020年3月には、バイオンテック社はアメリカの大手製薬会社の「ファイザー社」とmRNAを用いた新型コロナウイルスのワクチン開発を開始すると発表。
この時期は、日本ではクルーズ船の感染で騒がれていたが、新型コロナウイルスの感染が全世界的に拡大する前のこと。
明らかに準備万端で、実は発見前からワクチン開発を開始。
アメリカ政府は多額の補助金を出し、mRNAワクチンの開発に賭け、バイオンテック社の株価はワクチン開発の成功によって急上昇して、2021/09/21時点ではその株価の時価総額は871億ドル(約9兆5,000億円)、ファイザー社の株価の時価総額は2,460億ドル(約26兆9,000億円)となっている。
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