第2話 早期治療薬アビガン等が有効でも承認しない米欧日規制当局の仕掛けがあると推測できるレポート(1)

早期治療薬アビガン等が有効でも承認しない米欧日規制当局の仕掛けがあると推測できるレポートがある。


アビガンの有効性は判断できないと言う厚労官僚、

イベルメクチンは有効性が確認できないと言う医師、


そういう厚労官僚や医師は間違っているということを示すPMDAの内部報告書を要約して説明する。


医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、医薬品の副作用や生物由来製品を介した感染等による健康被害に対して迅速な救済を図り(健康被害救済)、


医薬品や医療機器などの品質、有効性および安全性について、治験前から承認までを一貫した体制で指導・審査し(承認審査)、


市販後における安全性に関する情報の収集、分析、提供を行う(安全対策)ことを通じて、国民保健の向上に貢献することを目的としている。


つまりPMDAは、医薬品の有効性・安全性について、治験前から承認までを一貫して指導・審査する公的な機関。


PMDAの科学委員会「プラセボ対照試験の現状と考え方」という報告書の中に、感染症に対する治療薬の有効性検証におけるプラセボ対照試験について科学的・倫理的な基準が示されている。


一般的な原則として医薬品の有効性検証のためにはプラセボ対照試験が必要。

プラセボ対照試験はランダム割付と盲検化が前提とされるが、ランダム割付、盲検化、プラセボ対照の3 つの要素は互いに独立している。


プラセボ対照ランダム化比較試験は自覚症状等プラセボ効果が大きいと想定される場合などでは特に必要。しかし倫理上の問題からプラセボ使用が困難となる場合がある。


世界医師会ヘルシンキ宣言では、標準治療薬のある場合のプラセボ使用について

「科学的で健全な方法論的理由によりプラセボの使用が必要であり」かつ


「効果の確立され た治療を受けなかったことにより重篤または不可逆的な害というさらなるリスクを負わないこと」という2つの条件を明示している。


プラセボ対照試験の実施が困難な場合として、重篤かつ未知の感染症の流行時等の公衆衛生上の危機における新規医薬品の試験的利用の問題 がある。


科学委員会専門部会においても、こうした危機的状況においては標準治療薬は無くともプ ラセボ対照試験は不要ではないかとの指摘があった。


特に欧米においてはエボラ出血熱に関する臨床試験の実施に伴い、公衆衛生上の危機に際しての新薬開発におけるプラセボ対照試験の要否に関する論争が継続している(2016年時点)。


患者の同意が得られない(他の効能で既に使用され、適応外使用されている場合等)ことにより、プラセボ対照試験の実施が困難な場合に対しては、


「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」が2010年(平成 22 年) 2 月に設置され、医療上の必要性の高い未承認薬や適応外薬の薬事承認の取得の取組みが進められている。


PMDA科学委員会の報告書は、未知の感染症の流行時等の公衆衛生上の危機における新規医薬品の試験的利用に言及しており、


抗ウイルス薬アビガン・イベルメクチンの緊急使用許可は科学的で妥当という観点で「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において薬事承認を得ることが最速の方法と考えられる。


製薬会社が申請しない場合でも学会が公知申請できるから、製薬会社の米国メルク社が申請しないイベルメクチンに適した手続きだ。


アビガンは企業治験の結果に基づき承認申請したが、2020年12月の厚労省承認審議会で有効性を判断できず継続審議とされた。その議事録は白塗りで継続審議とした根拠が隠されている。


治験が二重盲検でなかったから継続審議とされたと一部で報道されたが、それは科学的な根拠として認められない。


アビガン承認の厚労省審議会の検討の概要を解説した英文レポートが2021年4月に現れた。試験デザインは、COVID-19による非重症肺炎の日本人患者156名を対象としたプラセボ対照単盲検RCT。


主要評価項目は、PCR検査で検出可能なSARS-CoV-2ウイルスRNAが陰性化するまでの時間と、症状(体温、酸素飽和度、胸部画像)が緩和されるまでの時間だった。


その結果ファビピラビル(アビガン)群では11.9日、プラセボ群では14.7日だった(P値=0.0136)。P値=0.0136とは「アビガンの抗ウイルス効果が無いという確率は1.36%以下」ということを示している。


PMDAを含む世界の審査機関の有意差判定基準は95%信頼区間であり、P値が5%未満なら有効性を認めるのが科学的だとされている。


申請企業は試験開始前にPMDAとの間で試験デザインに合意していたが、承認権限を持つ厚労省審議会は試験が単盲検のため、ファビピラビル群とプラセボ群の区別を知っていた担当医師が被験者の症状の変化を判定する際にバイアスが働いた可能性があるとして、有効性を確認できないと決定した。


しかしPMDAの報告書では、感染症の流行時等の公衆衛生上の危機におけるプラセボ対照試験に対して、被験者の被るリスクや負担を小さくするために、試験デザインによる対応を認めている。


単盲検により、被験者の症状の変化に、医師が迅速に対処する倫理的な体制を作ることで、被験者の同意を得て試験を行い有意差を明確に示した。


PCR検査によるウイルス量測定結果は人間の意志や判断には関係ないので、2群間のバイアスの問題は無いはずだ。


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