第8話電話

私の母親が死んだ。


焼身自殺だった。


公園で黒焦げになっているところを近所の人に発見された。


父親の死、仕事の過労色々なことが重なっていたのかもしれない。


でも何故私を置いて。


それに焼身自殺なんて...。


それから私は祖父母の家に住むことになった。


しばらく住んでから、奇妙なことが起こり始めた。


ブー。


スマホが振動した。


電話だ。


画面に表示されている名前を見て驚いた。


母だ。


母の名前がスマホに表示されている。


母のスマホは解約したはず。


一体誰が、何故。


疑問は尽きないが電話に出てみることにした。


「もしもし?」


しばらくの沈黙のあと


「お母さんだよ、お母さん」


聞き覚えのない声で母親を名乗る人物。


「は?あなた誰ですか?!」


「お母さんだよ」


プー。


電話が切られた。


なんなんだ、気持ちが悪い。


イタズラ電話なのだと私は思うことにした。


それから一週間経った頃。


ブー。


スマホの電話。


かかってくるはずのない人物。


また母からの電話だった。


無言で私は電話に出てみる。


「今日の夕飯は鍋にするからね、じゃあ」


プー。


それだけ言われて電話が切れた。


やけにシワがれた声。


絶対に母ではない。


一週間後。


ブー。


電話が来た。


私は急いで電話に出て怒鳴りつける。


「ふざけてると警察に言うぞ!」


しばらくの沈黙。


「そろそろだから、そろそろだからね」


それだけ言われて電話が切れた。


その後、警察に相談したり、電話番号を変えたりした。


でもダメだったんだ。


今もその電話はかかってくる。


そろそろ頭が狂いそうだ。


「お母さん、お父さん、そのうちそっちに行くからね」







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