【5】
少女は目を覚ました。
少女はすでに、いくつかのドアを開け、いくつも部屋を通ってきたあとだった。
少女はひどく傷ついていた。
そのせいで、意識を失っていたのだ。
謎の機械をいじったら電撃を浴びせられ、ドアを開けたら刃物が飛んできて、食糧かもしれないと思って箱を開けたら爆発し、中に入っていた無数の金属片を撒き散らした。
さらに、体調もひどく悪い。
おそらく、別の箱の中に入っていた黄色ラベルの小瓶に入っていた液体のせいだろう。
渇きに耐えられず水と思い飲んだが、それ以来、視界が赤くゆがんで、吐き気がして、お腹が痛む。
さきほど、涙と思って目もとをぬぐったら、手の甲が真っ赤になった。目から血が溢れているようだった。
少女にはもう、罠を警戒したり、状況を思案したりする集中力がなくなっていた。
息をするとひゅーひゅーと音がして、喉に何か突っかかるような痛みがあった。
体力的にはまだ何とか動くことはできそうだったが、精神的に、限界だった。
耳慣れない音がした。
それは、どんどん大きくなっていった。
それが自分の笑い声だということに、彼女は最後まで気づかなかった。
少女は発狂した。
少女は死んだ。
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