第35話 

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生徒名【ラドル・メラニアン】性別【女】


才能センス【偉大なる魔女の血筋】

・攻撃魔法の威力上昇。

・使用回数によって上昇率向上。

・魔法同士を組み合わせて使用する【コンビ・マジック】が使用可能。

・筋力の退化。

・器用さの低下。

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ラドルさんの【才能センス】はやはり、かなり魔法に特化したものだった。

名前から察するに、代々受け継がれてきた【才能センス】だろう。

才能センス】には、継承するものと、しないものがある。


継承する類いのものには、大抵の場合「血筋」という言葉が付随する。そしてそういう【才能センス】を持っている人々の系譜をたどると、神話や、童話、逸話が語られる人物がいる。


なら今の人がなにか偉業を成し遂げたとして、その人の【才能センス】が「血筋」として受け継がれるかというと、そうとはいかないらしい。

才能センス】にはまだ解明されていないことが多いのだ。


それはともかく、ラドルさんはぜひうちにほしい【才能センス】をしている。


だが、これだけの【才能センス】をしているのなら、引く手数多ですでにどこかのパーティーに入っていてもおかしくはない。ひとまず、彼女がどこかのパーティーに入っているかどうかを調べなければならない。


その情報ばかりは、ここの資料には記載されることがないから。


「お、見つけた感じ?」


資料と睨めっこしながらそう思案していると、後ろから声をかけられた。

ユレイン先生だ。


「はい、ラドル・メラニアンさん……この【才能センス】はうちに欲しい」

「うんうん、そうだよね」


ユレイン先生は、まるで最初から俺がラドルさんを欲しがることをわかっていたかのように頷く。


「ラドルさんってもうどこかのパーティーに入っていたり……」

「しないね。彼女はちょっと訳ありなんだよ」

「え? そんなことどこにも……」

「メズくん。資料に目を通すのはいいけどそれだけで本人を測ろうとしちゃいけないよ」


今までの明るい雰囲気とは違う、嗜めるような言い方だった。

先生の言うとおりだ。これはあくまでデータ。

これを参照するのはいいが、これに頼り切りになってはいけない。


「ありがとうございます、先生」

「いいんだよ。さぁ、頑張りな」


先生に後押しされ、俺は部屋を出た。

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