第20話 剣を教えて2
「さ、さっきはごめんね……こ、こほん、じゃ、じゃあ反省点をあげます、あげるね!」
ダーケさんは正気に戻ってから、正座をしてそう言った。
俺も向かい合って正座をしている。スキスキ言っていたことに関してはひとまず置いておこう。
正直気になって剣どころでもない気がするが、とりあえず置いておこう。
ダーケさんもなんか言いづらそうだし。
「お願いします」
というか大して戦っていないのに、もう既に反省点を見つけているとは、やはりダーケさんは俺が思っている以上に剣の使い手なのだろうか。
だとしたら先生が俺の剣の師匠としてダーケさんを選んだのにも頷ける。
「えと、剣士なら、後ろに下がっちゃだめ、だよ」
ダーケさんはどこか自信のなさそうな口調で言う。
ふむ、それはおじいちゃんに言われたことがなかったかもしれない。
「はい」
俺は右手をまっすぐ上げて挙手をする。質問がありますのポーズだ。
「はい、メズくん」
「どうして下がってはいけないんですか?」
俺が聞くと、ダーケさんは「そっ、それはねっ」と話し始める。
「それはね、下がるとさっきみたいに隙が生まれちゃうから、だよ」
ダーケさんはすごく簡潔に話してくれた。
なるほど、たしかにさっきはダーケさんが近づいてきてとっさに下がったけれど、追い打ちをかけられて反応しきれなかった。
そうして考えてみると、下がるのは良くないな。
「なるほど……じゃあ、あのとき俺はどう反応したら?」
「そうだね、わたしならまず、抜刀した状態で構えるかな……あっいやっ嫌味とかじゃ、ないよっ、ほんとだよっ」
ダーケさんはぶんぶんと両手を振って必死に弁明をする。
今のは確かに自然と出てきた感じだった。嫌味っぽくなって気づいてから訂正すると、余計意味っぽさが増すと思うが……彼女がするとおっぱいが揺れてどうでも良くなる。
「いや、いいよ。ありがとう」
俺は素直に感謝を述べる。おじいちゃんはダーケさんみたく教えてはくれなかった。ただ型と素振りばかりで、ダーケさんのようなアドバイスはありがたい限りだ。パーティーメンバーに剣が使える人もいなかったし。
「とりあえず、ひとまずはだけ、かな……? また戦う中で気づいたことがあったら言う、ね」
ダーケさんはそう言ってから一呼吸置いて、また話し始める。
「と、ところでその、さっきのこと、なんだけど……!」
ダーケさんはうつむきがちに言う。先ほどまでとは変わり、ダーケさんの語気が強くなった気がする。
というか、さっきのこと、というのはやはり俺に抱きついて来たときのことなんだろうか。俺はなんとなく、正座の姿勢を正す。
「その、わた、わたわた、わたしっ、と、お。おお。お付き合い、してくれませんきゃっ!?」
言ってダーケさんは正座のポーズから綺麗な土下座を放って言った。
「え、えぇー……」
俺は天を仰いだ。
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