第3話 選択の行方 ー最後の日ー


ー伊藤 愛花(まなかside)ー


両親と一緒に試験会場に向かった


車中は、ひたすら復習をした


両親は、私のことを気遣ってか、何も喋らない


本当にありがたかった


試験会場が見える


あぁー、もう始まる 今日は、どんよりとした雲だった


愛花「じゃあ、行ってきます!」両親は、頑張ってきてねとも言わず、ただうなづいて見送ってくれた


明智くんは先に自分の席に座って勉強しているみたいだ


今日は、理系科目で正直お互い苦手だ


今日は、話しかけず、一人で勉強しよう....自分の席へと向かい、テスト前に計算問題を解く、朝に計算問題を解いて、頭を理系の頭に切り替えておく必要があるからだ


そして、試験がはじまった



いつも通り、試験を解く


今年は難化しているかも 明智くん大丈夫かな


いやいや、人のことを心配する前に自分のことだ


私は、問題を解き、チャイムが鳴る


はぁー、これで午前の部が終わり...





私は、明智くんの方をチラッと見る 頭を抱えていた


やっぱり、難化で良い点数が取れなかったのだろうか?


みんな難しいから、大丈夫だと伝えに行こうか....悩んでいると


??「あの....いs….いしょに.....ごはん....」あの、憎き浪人生がやって来た


愛花「ご飯は、ちょっと、一緒には食べれないです...すみません」面倒なのに絡まれちゃったかも…




??「何で!!!!」



会場中に聞こえるような大声を出した 




私は、ビクっと驚いた


周りから、一斉に私の方へと視線が集まる


愛花「.......怖いです......」小さく言ってみた




??「何でダメなの????ねぇ、昨日はあんなに優しくしてくれたのに何で?ねぇ何で?君のおかげでテストよかったから、誘ってあげてやったのに、何で?」


また、大きな声で訳のわからないことを言い始めた



周りから、声が聞こえる

「何、痴話喧嘩?」

「おい、大切な日に迷惑かけるなよ」

「あぁー、うるせ」

「どっか行ってくれねぇかな」




そのぶつぶつと私に向けた不満と視線が怖かった 





私は、その場で震えていた




横の男も何かブツブツと言っている


私は、下を向いた


もう嫌だ、帰りたい....







・・・「あのー、やめてもらっていいですか?うちの彼女困ってるんで....」


その声と同時に私の肩が温かいものに包み込まれた


声の方を見ると彼だった


涙がこぼれた


やっぱ、この人なんだ 


私の好きな人でずっとそばにいて欲しい人は…


明智「彼女、怖がってるんで、ここは大人の対応をしませんか?」



??「....付き合ってる? 嘘だ!」大声をまた出した



周りから、さらに注目を浴びる


明智「いや、ほんとですって ほら」


そう言うと、私の手を握った


??「……」



明智「え?まだ、信用できない? そうだな...なんか、いい手があるか?愛花」




ずるい、こういう時だけ、愛花って呼んで



何が付き合ってるよ..「付き合ってください」なんてあなたから聞いたことないじゃない






私は、立ち上がって、彼の胸元に飛び込んだ 




恥ずかしい でも、嬉しい

いろんな気持ちが溢れ出た


明智くんの体、ゴツゴツしてる  いい匂いがする


明智くんは、私を手で包み込む




明智「ほら、彼女が怖がって、抱きついて来ちゃいましたよ、彼女、俺のこと大好きですから」



もうバレてるんだね..でも、もうどうでもいい 



ずっとこうしていたい



明智「それにお互い、これ以外でも因縁がありそうですから…」


ぼそっと、そのようなことを浪人生に話す



気づいていたの?...この人は、本当にすごいな..



??「くそっ!!」そう言って、男は、外へ出ていった



明智「...いつまでくっついているんだ?そんなに抱きつきたかったのか?」


私は、離れようかとも思った だけど、



さらに抱きついた 欲望には逆らえない



明智「ほんと、この彼女は、俺のことが好きみたいだな..」



周りから、拍手が起きた

「彼氏さん、かっこよかったよ!」

「おい、試験中にお熱いの見せてもらうとは思わなかったぜ」

「幸せになれよ!」

すごいな、周りから、こんな声が聞こえる



あぁー、体から不安や恐怖ってものが抜けていく





明智「幸せになれよ だってさ、どうする? 試験受けてちょっくら一緒な大学にいくか?」


私は、顔を上げた



愛花「落ちたら、絶対に許さない....一緒に同じ大学に行く…」



明智「そうか、だったら、離れて勉強しなきゃだな」

愛花「....うん、離れる」私は、彼から離れる




明智「じゃあ、いつも通り昼ごはん頼みます!」

愛花「ギクリっ」

明智「へっ?」

愛花「今日、忘れちゃった...」

明智「じゃあ、近くのコンビニ行くか…」


そう言って私たちは、サンドイッチを買ってきて勉強を始める 


と、そんなこんなをしていると、チャイムがなり、着席をし、午後の数学試験が始まった



ー明智ー(あけちside)ー


難しい問題は、ないな 基本問題でどれだけ落とさないかが大事になるな

基本問題の見直しを重点的に行った


そして、最後のチャイムがなった



明智「ふー、やっとこれで終わりか…」


安堵からか、背中を椅子にもたれかかる


俺の横をあの浪人生が通る



少し不安だったが、何もしてこなかった 

これで一安心



愛花「どうだった?」俺の席に飛び込んできながらそう言った


明智「ああ、まぁ何とか大丈夫だ」


愛花「よかったー、これで一緒な大学だね!!」


明智「気が早いな まだ、2次試験もあるだろ でも、まぁお疲れ



今度さ、一緒にお疲れ様会としてどっか行かないか?」


愛花「えっ?それってさ…」


明智「ん?あぁ、もしかして、勉強したかった?ごめん」


愛花「いや、そうじゃない..だったら、水族館行かない?」


明智「水族館?」


愛花「うん、嫌なら別のところでもいいけど…」



愛花の提案を断れるはずがない 



それに前に聞いたことがある 愛花の両親の初デートが水族館だったって おそらくそこに行きたいのだろう


明智「おけ、後日、計画で」

愛花「うん!じゃあ、帰ろ」もう、すっかり夜だ 



俺たちは、試験であれが難しかった、あの問題解けた?など、1日目で話せなかったことを聞き合った 


二人でいるだけで幸せだった


明智「じゃあ、また学校でな」


愛花「うん、バイバイ」


そうして俺たちは、別れた


俺は、自宅へ帰るため、歩道を歩く


あぁ、今日色々あったな




愛花には、抱きしめられたし


やばい、思い出しただけで、鼻血が出そうだ



思い出すのは、やめておこう


それより、俺の気持ち、あいつに伝わったかな?

明智「さてと、帰ってからも勉強しますか...あいつと一緒な大学に行くために」






「ガン!!!」






周りには、音が鳴り響く







俺は、頭を殴られて、血が頭から出ているのに気づく…




俺は、歩道に倒れる





最後の力で、後ろを見る


あの浪人生だ








明智「...まな..か、幸...せ..に..な.....れ...よ..」


??「ふざけるな!!あの子は僕の天使だ!!」

そう言って、男は立ち去る



そして、その歩道で明智が死亡したと知った愛花は、泣き崩れた

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彼女に俺の声は届いただろうか... あけち @aketi4869

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